今年の二月堂修二会ももう少しで満行を迎えます。
東大寺HPで《「修二会」は、今回の新型コロナウイルスの感染に関係して中止することはありません 》とお知らせされているように、この1269年続く不退の行法が中止になることはないと、修二会に通う者として当たり前のように思いながらも、参拝者に何かあって局が閉じられるような措置があったらという一抹の不安もあり、絶対そのようなことにならないよう、自分が感染しない感染源にならないよう体調に気を付けて無理をしないで聴聞に臨んだ今年の修二会。
局に通う多くの人がきっと同じ気持ちであったと思います。
法会に携わる方々だけでなく、そこに通う聴聞者各人が「無事満行」をこれほど強く願った年もないのではないでしょうか。
昨日13日は、深夜の聴聞が初めてのお客様方と伺いました。
半夜の勤行から「走り」後夜「達陀」そして「晨朝」まで。
「走り」は西の局がいいのですが、すでに満杯状態でしたので、比較的空いていた南の局へ入りました。
私は耳だけで楽しめるようになりつつありますが、初めての方には「走り」は西で見ていただきたかったと、ちょっと悔やまれます。
それでも「達陀」の様子や、和上さんが長い箒で内陣の火の粉を掃っている様子などが目に入ると、音も聞き漏らすまい、匂いも鼻を全開に吸い込もうと、一年ぶりの行法を身体全体で楽しんでおりました。
「チョーズ、チョーズ」の下堂風景。
まず大導師、和上、咒師の御三方。
そして堂司、平衆の皆さま。
それにしても遠くに見える奈良の街の明かりの煌めきが美しいこと!
この平穏で美しい明りがいつまでも消えませんように・・・そんなことを思って、ふと今日3月13日夜半から14日未明にかけては大阪大空襲の日だと思い出し、「一日の行を終えて生駒山の方を見れば大阪の空が真っ赤だった」という当時の練行衆のお話をどこかで読んだ記憶があり、75年後のまさにその日その時間に同じ空を見ながら、平穏な毎日が続くことを強く祈るのでした。