3月13日(水)14日(木)
修二会ももう終わるかと思うととても名残惜しく、無理をしてでも行っておかなければという気持ちが勝って、両日とも「半夜」~「走り」~「後夜」~「達陀」~「晨朝」を聴聞しました。
二月堂に着いた時にはすでに西の局がいっぱいで入るのが難しそう。
12日からの3日間は内陣の板戸が外され、北・東・南の局からも中の様子を伺うことができるので、ちょうどいいかもしれないと2日間とも南の局で聴聞することにしました。
昨年ご縁をいただいた「灯芯保存会」さん奉納の灯芯が使われている「牛玉の牛」(須弥壇西南角あたりにある)と「牛玉の燈芯」を、まずは目を凝らして確認します。
「牛玉の燈芯」はうっすらとわかり、「牛玉の牛」も位置的に多分あれかな?と思いましたが、12日以降でないと見られないので貴重な機会でした。
写真は小学館『東大寺お水取り 二月堂修二会の記録と研究』よりそれにしても、灯芯について知らなかったら「牛玉の燈芯」に気がつくことはなかったことでしょう。
そうこうするうちに「走り」の準備がされていきます。
西の正面以外の舞台裏から真剣に拝見するのは初めてなので、事前に頭に入れておいた言葉を耳が捉えたり、所作を見ることができたりすると、それだけでテンション高くなってしまいます。
まず、目と耳に入ってきたのは・・・
四方加持で三職が橋まで出て正面の加持をするところが見えただけで嬉しく、「大悲者だいしゃ大悲者大悲者大悲者・・・」「ホ」「ホ」と加持の句の後に唱えられる「大悲者」の意味を考えたり、「ホ」「ホ」という呪の音が何だか可愛く聞こえたり・・・。
そして、行道が始まり、壇回りを何周か回って和上の「南無頂上」と「南無最上」が始まり(それぞれ正面で3回2回1回と唱え立礼、唱誦と唱誦の間に壇回りを一周行道)、その後は、大導師から順番に、西正面に来ると「南無最上」を長くフシを引いて壇回りを一周しながら唱える「長最上」に。
大導師以下「南無最上」を行道しながら唱えて、次の方に順番交代の時に向き合って軽く一礼されるのもしっかり確認。
この行道しながらの様子も南の局の東寄りに位置していると、北側から向かってこられる練行衆のお顔までもがよくわかりました。
また、司が行道中に「走りの松明」で点火していくところや、最後に正面中央の床にたたきつけての消火も確認できました。
「走り」こそは、お香水もいただけるし、戸帳巻上げも走り五体も見える西の正面からと思っていましたが、今回、南の局で舞台裏のような様子を拝見できて、これもよかったです。
「走り」が終わって、「後夜」の勤行へ。
読経の法華音曲、南の局で聴く心地よい時間からの、司のキレのある「南北!」の声に重厚な「南座は~」「北座も~」。
(14日の読経は普段と違って北座衆が加わっているので、自席に戻るところも確認すればよかったと←来年こそ確認したい自分メモ)
私の場合、仕事が一段落してからの聴聞ばかりで、初夜の悔過作法をほとんど聴聞できずにいます。今宵は後夜の悔過作法~特に大呪願と称名悔過が好きなので~をしっかり聴いておこうと耳をそばだて、日を追うごとに時導師とガワの掛け合いのスピードが増していく様子に、ライブに来ているような高揚感を感じておりました。
さて「達陀」も、八天の動きや何を投げているのかなどは正面でないとわかりにくいと思いますが、南の局から見る舞台裏の様子もまたよかったです。
後夜の大導師作法の加供帳が始まる時に、南座の練行衆が何やらもそもそされているようで、よく見ると重衣の袖をぐるぐる縛っておられるようです。
これは、中田文花さんが達陀の平衆のいでたちをイラストで解説して下さっていたのを知っていたから思い至ったのでしたが、目を凝らして見ると、平衆3人がお互いに袖口を縛ったり袈裟を絞ったりしているようで、袖をぐるぐる縛るというのは一人ではできないことなのだと気がつきました。(望月さんの日記にも詳しく書いてあります★)
東側で達陀松明に火をつけるところ、「つけんだりや~」「まだし~」「つけんだりや~」「つけんだり~」の声も聞き、火が付いたとたんに、大導師さんと和上さんが長い箒で内陣内の火の粉を掃いていく様子、裏側で松明の火を消す様子なども拝見できた舞台裏でした。と言いながらも、いつかは正面の西の局でも拝見したいものです。
そして「晨朝」。
13日は粥食呪願まで聴き、三職の下堂を局から見送り。
14日の名残の晨朝では、今まで気がそぞろで宝号辺りで局から出てましたが、今年は最後まで残って、粥食呪願がなくいつもと少し違うことも確認し、耳に残る しめやかな声明の余韻に浸りながら局を出ました。
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2021年の修二会から3年間制限されていた局での聴聞が、今年久しぶりに可能となり、ワクワクドキドキから始まった3月スタート。
制限されていた間にすっかり膝を悪くして、姿勢を正して長時間座れなくなってしまったり、長時間の聴聞に耐えられない体力の衰えを自覚したり。
無理せず1日行っては1日休み、1時間2時間で切り上げる勇気も持って、ピンポイントながらも何とか14日間の聴聞を終えられたことを観音様に感謝申し上げて、晨朝下堂で二月堂を後にしました。
毎年この日この時に二月堂で出会う 修二会好きの皆様と、今年も楽しい時間を共有できましたこと、ありがとうございました。
トップの画像は、晨朝下堂を待っている時に撮ったもの。
美しい奈良の夜景を望みながら(ちょっとこみあげてくるものがありました)
「チョーズチョーズ」のない晨朝下堂の動画はInstagramでどうぞ→
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