2024年3月13日水曜日

二月堂修二会2024「夜の聴聞」

待ちに待った局での聴聞再開なのに「称揚」や「実忠忌」や「小観音」さんや「籠松明」「お水取り」など、特別な日は仕事も忙しくて聴聞に出られず、今年はお昼に二月堂に上がることもなく、お松明も奉納の竹が上がる日に見に行っただけという有り様でしたが、そんな中で何回か夜遅くに聴聞した記録を自分メモとして綴っておきます。

写真は4日目の下堂風景。
 
3月1日(金)
この日の聴聞記録はこちらに書いています→

3月4日(月)
「チョーズ・チョーズ」が聞きたくて遅い時間に出かけました。
「半夜」~「法華懺法」~「後夜」~「晨朝」を聴聞
(23:00二月堂着から1:15頃まで)
平日の遅い時間だったこともあり、南の局も北の局も人が少なくてびっくり。どちらに入ろうか迷いながらもいつもの南の局へ、中の様子が少し見えるところで拝聴いたしました。
「南北!」の時の堂司さんのキレのある動きがとても軽やかで、また晨朝時導師の権処さんの全身全霊の声明も見て聴いて感動でした。
この日の下堂風景の動画はInstagramにあげています→

3月6日(水)
「走りの行法」だけをお目当てに(23:00二月堂着から0:00頃まで)
「走り」は前半の上七日では5日6日7日の3日間に行われ、5日は実忠忌、7日は小観音さんがあって、そこそこ人出があります。反対に6日は割と空いているのでこの日を狙って出かけました。
せっかくならお香水をいただきたいと、西の局の様子を見るとまだ空きがあります。するする~と前へ進んで、堂童子さんの見事な戸帳巻上げを正面で拝観でき、最後はお香水もいただくことができました。
翌日7日の小観音さんの日の「走り」では、西の局に入れなかったくらい人が多かったと聞きましたので、「走り」だけに特化して聴聞される場合は6日がねらい目かもしれません。

3月8日(金)
この日から下七日。(22:00二月堂着から0:00頃まで)
「初夜」の勤行が「引上ゲ」という省略した作法で勤められるので、下堂時間が前半の上七日より少し早くなります。
また下七日から唱えられる「教化」を堂内で聞きたいので、それに合わせて聴聞しました。
「初夜の咒師作法」(練行衆は牛玉・陀羅尼札刷り)~「教化」~「半夜」~「法華懺法」~「後夜」の途中で帰りました。
このあともう少しで、「後夜の教化」を聴けるし下堂まで小1時間ほどとわかっているのですが、翌朝の仕事のことを考えると、とにかく今年は無理しないと自分に言い聞かせて、日付が変わる頃に後ろ髪引かれながら帰宅しました。
8日の日に仕上がる籠松明が仏餉屋や食堂に立てかけてあり、この様子を見るだけで下七日になったんだと感慨深く思いました。

3月11日(月)
開業記念日、そして東日本大震災が起こった日。
この日だけは忙しくても何としても祈りの場に向かいます。
奉納の松明を見てから一旦戻ってまた出かけました。
「半夜」~「法華懺法」~「後夜」~「晨朝」を聴聞
(22:30二月堂着から0:45頃の下堂まで)
8日に聴けなかった「後夜の教化」や大導師作法・咒師作法をしっかり聴聞でき、世の安寧を祈り感謝の気持ちをお伝えしました。
本手水の時間に少し局の外に出て、二月堂から奈良の夜景を見たり、身体を延ばしたり。キラキラとまばゆい夜の二月堂の美しさに、改めて魅入るひとときです。

最後まで聴聞した時、いつもは「チョーズチョーズ」の下堂風景を見ようと少し早い目に局を出るのですが、この日は、局の中で和上さんの「粥食呪願」を唱える伸びやかなお声に耳を傾け、その後まず三職の方が下堂されるのを局の中からお見送りして、ご本尊様にもう一度丁寧にお参りして局を後にしました。

下に降りて閼伽井屋まで来ると、明日の「水取り」の前に点検に入られる咒師さん、堂童子さんを見かけました。
この時間、湯屋の前では鹿たちが施食を待っていました。

3月13日(水)
3月14日(木)
最後の2日間は両日とも「半夜」の途中から下堂まで聴聞しました。
聴聞記録は、後日に別投稿で綴ります。

::
久しぶりの局での聴聞再開でご宿泊の方も多く、体力温存と睡眠時間確保のために、今年は無理のない範囲でお参りしましたので、法会の全体を見ることなくピンポイントな聴聞になってしまいました。
それでも二月堂の局の片隅で、聞こえてくるお声明に耳を澄まし、ひたすら目を凝らし、そこでしか嗅ぐことのない匂いを吸い込み、わずかな時間の聴聞でも幸せな気持ちに満たされておりました。
最初から最後まで聴聞することのできないもどかしさもありましたが、お客様からお話を伺ったり、SNSに上げられた知人たちの写真を見るのも楽しみなことでした。

ご宿泊いただいた皆様、二月堂でこの時期にお目にかかる皆様、楽しい時間を共有していただきどうもありがとうございました。