2024年3月18日月曜日

春の訪れとご報告*

お水取りが終わって春がきたような陽気も束の間、今週はまた寒さがぶり返したように感じます。それでも前庭の木蓮の膨らみかけた蕾を見ていると、もうまもなく春が来てくれそうで待ち遠しい毎日です。

館内も春らしい装いに、いただいたお祝いの花籠も生け直したり。



そして、月遅れの雛祭りにとInstagramで一目ぼれした小さなお雛様をお迎えして、より一層 春らしい雰囲気を楽しんでいます。
奈良一刀彫の抱雛、土井志清さん作。
小さくても存在感があって、彩色の美しさに見惚れるばかりです。

最後にちょこっとご報告です。
1/27のブログで書きました、友人 @shiwonsan さんより協力依頼があった募金箱の設置期限が来ましたので中を開けて、皆様からお寄せいただいた14130円をお渡ししました。ご協力ありがとうございました。(詳細はこちら
もう一つの募金箱~全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)から、被災されている宿泊施設へ直接行き届く災害救援金に使われます~は、3/31まで奈良倶楽部フロントデスクに置いていますので、お心を寄せていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。

2024年3月15日金曜日

修二会満行とご宿泊御礼

3月15日「修二会満行」
一か月にも及ぶ厳しい行を成された練行衆の皆様の晴れやかなお姿を拝しに、今年も涅槃講勤行から開山堂へ向かわれる頃に二月堂へお参りにうかがいました。

東大寺初代別当・良弁僧正と修二会を始められた実忠和尚をお祀りする開山堂に参拝して満行を報告の後
門前にて一同 輪になり挨拶をかわされて解散。

そして、皆様の晴れやかな笑顔。
無事に行を終えられた清々しいご様子を拝見させていただくのが毎年の楽しみになっています。

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そしてこの日は、二月堂南面にて「達陀帽いただかせ」があり
今年も達陀帽を被らせていただきました。
この時に「どこか身体の悪いところはありませんか?」と尋ねてくださったので「膝がちょっと」と言うと、お膝にも被せてくださいました。ありがとうございました。

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今日は、ぽかぽか陽気にとても気持ちのいい雲一つない青空で「修二会が終わると春が来る」というような、まさにそんな一日でした。

最後になりましたが、修二会期間中はたくさんのお客様にご宿泊いただきどうもありがとうございました。翌日の朝食の席での皆様のお話を伺うのも楽しいひとときでした。
あらためまして御礼申し上げます。

また、ブログに綴る聴聞記録も、13日14日の「走りと達陀」のみとなりましたが、書く時間を中々作れずにいます。
もう少し後になりますがお待ちいただけると幸いです。(←有言実行のために書きました:笑)

2024年3月13日水曜日

二月堂修二会2024「夜の聴聞」

待ちに待った局での聴聞再開なのに「称揚」や「実忠忌」や「小観音」さんや「籠松明」「お水取り」など、特別な日は仕事も忙しくて聴聞に出られず、今年はお昼に二月堂に上がることもなく、お松明も奉納の竹が上がる日に見に行っただけという有り様でしたが、そんな中で何回か夜遅くに聴聞した記録を自分メモとして綴っておきます。

写真は4日目の下堂風景。
 
3月1日(金)
この日の聴聞記録はこちらに書いています→

3月4日(月)
「チョーズ・チョーズ」が聞きたくて遅い時間に出かけました。
「半夜」~「法華懺法」~「後夜」~「晨朝」を聴聞
(23:00二月堂着から1:15頃まで)
平日の遅い時間だったこともあり、南の局も北の局も人が少なくてびっくり。どちらに入ろうか迷いながらもいつもの南の局へ、中の様子が少し見えるところで拝聴いたしました。
「南北!」の時の堂司さんのキレのある動きがとても軽やかで、また晨朝時導師の権処さんの全身全霊の声明も見て聴いて感動でした。
この日の下堂風景の動画はInstagramにあげています→

3月6日(水)
「走りの行法」だけをお目当てに(23:00二月堂着から0:00頃まで)
「走り」は前半の上七日では5日6日7日の3日間に行われ、5日は実忠忌、7日は小観音さんがあって、そこそこ人出があります。反対に6日は割と空いているのでこの日を狙って出かけました。
せっかくならお香水をいただきたいと、西の局の様子を見るとまだ空きがあります。するする~と前へ進んで、堂童子さんの見事な戸帳巻上げを正面で拝観でき、最後はお香水もいただくことができました。
翌日7日の小観音さんの日の「走り」では、西の局に入れなかったくらい人が多かったと聞きましたので、「走り」だけに特化して聴聞される場合は6日がねらい目かもしれません。

3月8日(金)
この日から下七日。(22:00二月堂着から0:00頃まで)
「初夜」の勤行が「引上ゲ」という省略した作法で勤められるので、下堂時間が前半の上七日より少し早くなります。
また下七日から唱えられる「教化」を堂内で聞きたいので、それに合わせて聴聞しました。
「初夜の咒師作法」(練行衆は牛玉・陀羅尼札刷り)~「教化」~「半夜」~「法華懺法」~「後夜」の途中で帰りました。
このあともう少しで、「後夜の教化」を聴けるし下堂まで小1時間ほどとわかっているのですが、翌朝の仕事のことを考えると、とにかく今年は無理しないと自分に言い聞かせて、日付が変わる頃に後ろ髪引かれながら帰宅しました。
8日の日に仕上がる籠松明が仏餉屋や食堂に立てかけてあり、この様子を見るだけで下七日になったんだと感慨深く思いました。

3月11日(月)
開業記念日、そして東日本大震災が起こった日。
この日だけは忙しくても何としても祈りの場に向かいます。
奉納の松明を見てから一旦戻ってまた出かけました。
「半夜」~「法華懺法」~「後夜」~「晨朝」を聴聞
(22:30二月堂着から0:45頃の下堂まで)
8日に聴けなかった「後夜の教化」や大導師作法・咒師作法をしっかり聴聞でき、世の安寧を祈り感謝の気持ちをお伝えしました。
本手水の時間に少し局の外に出て、二月堂から奈良の夜景を見たり、身体を延ばしたり。キラキラとまばゆい夜の二月堂の美しさに、改めて魅入るひとときです。

最後まで聴聞した時、いつもは「チョーズチョーズ」の下堂風景を見ようと少し早い目に局を出るのですが、この日は、局の中で和上さんの「粥食呪願」を唱える伸びやかなお声に耳を傾け、その後まず三職の方が下堂されるのを局の中からお見送りして、ご本尊様にもう一度丁寧にお参りして局を後にしました。

下に降りて閼伽井屋まで来ると、明日の「水取り」の前に点検に入られる咒師さん、堂童子さんを見かけました。
この時間、湯屋の前では鹿たちが施食を待っていました。

3月13日(水)
3月14日(木)
最後の2日間は両日とも「半夜」の途中から下堂まで聴聞しました。
聴聞記録は、後日に別投稿で綴ります。

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久しぶりの局での聴聞再開でご宿泊の方も多く、体力温存と睡眠時間確保のために、今年は無理のない範囲でお参りしましたので、法会の全体を見ることなくピンポイントな聴聞になってしまいました。
それでも二月堂の局の片隅で、聞こえてくるお声明に耳を澄まし、ひたすら目を凝らし、そこでしか嗅ぐことのない匂いを吸い込み、わずかな時間の聴聞でも幸せな気持ちに満たされておりました。
最初から最後まで聴聞することのできないもどかしさもありましたが、お客様からお話を伺ったり、SNSに上げられた知人たちの写真を見るのも楽しみなことでした。

ご宿泊いただいた皆様、二月堂でこの時期にお目にかかる皆様、楽しい時間を共有していただきどうもありがとうございました。

2024年3月12日火曜日

お松明の写真と「蜘蛛の巣払い」

昨晩の奉納松明の写真を、知り合いのカメラマンさん達が撮って送って下さいました。臨場感あふれる素晴らしい写真ばかりなので、ブログでもご紹介させてください。

早朝6時からお松明を作っているところを撮って下さったNさんより。 



毎晩その日に上げる松明は童子さんの手によって作られます。
朝の6時頃から、多分8時には仕上がっていると思います。
仕上がると登廊下の細殿の壁にかけて、その日の出番を待ちます。

舞台を流れる炎を捉えた写真は I さんより。

昨日のブログにも上げたO さんからは、もう一枚の写真も。

素晴らしい写真をいただき、とてもいい記念になりました。
ありがとうございました。

では私の撮った写真も少し・・・
こちらは、お松明終了後に明日(12日)の籠松明の火勢で、登廊の屋根や回廊の軒先が焼けぬように、消防用のホースでたっぷりの水をかける「蜘蛛の巣払い」と、役目を終えた竹とのツーショット。
わかりにくいかもしれませんが、手前に横たわるお松明、右手は榊で飾られた閼伽井屋、左は食堂に立てかけた籠松明。二月堂舞台では「蜘蛛の巣払い」が行われています。


お松明が終わった19:30頃から二月堂舞台の屋根や軒先に水が撒かれ、その後に登廊の屋根に向かって放水されました。
今回の竹は、桜井市在住の竹のアーティスト・三橋玄さんにご縁いただき奉納することができました。
役目を終えた竹は、三橋さんの手によって奈良倶楽部の内装を飾ってくれることになります。楽しみです。

2024年3月11日月曜日

奈良倶楽部開業記念にお松明奉納

1989年3月11日、平成元年に奈良倶楽部を開業して今年で35周年。
35年という年月は、とても長い道のりだったようにも思えるし、過ぎてしまえばあっという間だったようにも思えます。

いつもの周年記念日のように、単なる通過点と割り切れないこともないのですが、ちょっとだけ記念になることをしてみようと、二月堂修二会のお松明の竹を奉納しました。

ちょうど開業記念日の日に上げていただけることになり、今年初めてとなるお松明見学にでかけ、有難い思いで手を合わせ、大きな炎を見送ることができました。

ここまで来られたことに感謝の気持ちと、この35年間に関わって下さったすべての人たちにありがとうの思いをお伝えします。

いつまで周年記念日を重ねていけるかわかりませんが、明日からまた「継続は力なり」という言葉を心に留めて、日々の仕事や出来事に励んでまいりますので、変わらずどうぞよろしくお願い申し上げます。

(画像はカメラの先生、小野さんよりいただきました。ありがとうございます。)

2024年3月8日金曜日

二月堂修二会2024「奈良倶楽部奉納の竹」

 二月堂下の、奉納や寄進の松明竹が置かれているところ。

日を追うごとに、竹置き場からお松明として旅立って、奈良倶楽部の竹も明後日11日の晴れ舞台を待つばかりになってます。 
上の2枚の写真はお客様からいただきましたが、前日の小観音さんのお松明が参籠宿所の中に見えます。 
朝参りの方からは「二月堂の焼印が入ってましたよー」と写メが送られてきました。 
二月堂で竹を見つけた皆さんに喜んでもらえて嬉しいです。 

さて、奈良倶楽部の竹は、3月11日のお松明、6本目。衆ノ一・池田師の初夜上堂の灯りとして上がります。担いで下さる童子は倉田さん。

実は10年前の25周年記念に奉納した松明竹を担いで下さったのも倉田さんで、その時の練行衆も池田師だったという偶然に喜んでいます。 

明後日11日は、お客様のチェックインが一段落したら私もお松明を見に二月堂へ参りますが、時間がギリギリなので、遠くから見ることになりそうです。
もし、11日にお松明見学に行かれる方で、上手く写真が撮れたらよかったら送ってくださると嬉しいです。 よろしくお願いします。

2024年3月3日日曜日

二月堂修二会2024「3年ぶりの局での聴聞」

3月1日
いよいよ今年の修二会が始まりました。

前日2月29日にご宿泊のお客様方は、深夜の「開白上堂」から「一徳火」「開白法要」と 聴聞されて朝方3時半頃に戻ってこられた方ばかり。朝食の席で皆さんが、西の局が「開白上堂」間際に開いたことや、3年ぶりの局での聴聞や一徳火の切り出しに感激されたことなどお話されて、そんなお話を聞いているだけでわくわくしておりました。

修二会期間中はたくさんのお客様にご宿泊いただいて、有難いことに今年は久しぶりに忙しくさせてもらっています。そんな中でニコ生を聴きながら(←今年はものすごくクリアに音声がよく聞こえます!)自分はいつ聴聞に行こうかと思案するのも楽しいひとときです。

局での聴聞が再開されて、遅い時間の途中からでも入堂できるのか(人がいっぱいだったら入れないのだろうか等)を知りたいので、初日の21:30頃から二月堂へ、神名帳が終わる頃に聴聞に入りました。


二月堂に上がって、まずは観音様にお参りしようと西の局に入ると、意外に空いているのです。これならゆっくりできると、今日はそのまま西の局で聴聞させていただくことにしました。

聴聞メモ>>

局入堂は人数制限があるように聞いていて先着順のようでしたが、初日は聴聞者が少なくて途中入堂しても大丈夫でした。

手水からお堂に戻って来られた処世界さんの袈裟を、権処世界さんが綺麗に直してあげている様子がよく見えて微笑ましかったです。
これは堂内で聴聞できたからこそ垣間見えたことで、些少なことでも有難く感じました。

「大導師作法」での諷誦文では、阪神大震災や東日本大震災に続いて能登半島地震について触れられ、元日の久しぶりの再会の団欒中に起こった地震に被災された方々や亡くなられた方々に思いを馳せた祈りの言葉が聞こえました。
またウクライナ侵攻やガザの戦闘での不条理な出来事には、犠牲者の安寧や世界平和を願う祈りが詠みあげられ、心に重く響きました。

「咒師作法」では、戸帳越しに見える咒師さんの大きく手を上げて鈴を振りおろす様子をうっとりと拝見しておりました。
戸帳に映る影の何とも美しいこと!

「半夜」の時導師さんは南二の北河原師。
1日は「次第時」といって、「日中開白」からの六時の行法の時導師を平衆の上から順に勤めていかれます。「次第時」の声明はとてもゆっくりで丁寧(一称一礼という正式な作法で勤められる)と聞いていましたが、これがそうなんだと染み入りながら拝聴しました。

そしていよいよ「法華懺法」です。
それまで7~8名だった西の局も一気に人が流れ込んで、皆さん熱心に聴き入っておられます。
久しぶりに聴く生の「法華懺法」に心が喜びまくりです。

西の局は、本手水の時などに戸帳が上げられて、椿の花や高く積み上げられたお壇供や燈明の灯かりに荘厳された須弥壇の様子がよく見えます。

まだまだ先が長いので、初日は「後夜」の前で失礼することにして、観音様に手を合わせ有難い思いで二月堂を後にしました。

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局での聴聞についてですが、Xに詳細が出ていました→
ご参照ください。