2020年5月17日日曜日

奈良倶楽部の図書室から*その⑤

「7days BookCover Challenge」
第5回目にご紹介する図書室の蔵書は、大好きな画家にちなむ本を。
「堀 文子画文集1999~2009」「命といふもの」
「堀 文子の世界」「堀 文子の言葉 ひとりで生きる」
昨年2月に百歳でご逝去された堀文子さん。
作品もさることながら、その生き方、考え方、何もかもに共感して、展覧会に行った時などに買い求めた画文集も4冊となりました。
美しい絵画作品と共に心に響く言葉の数々。時々、読み返しては、はっと気付くことも多く、私のバイブル的存在となっています。
今まで3回鑑賞した作品展のうち、2回を紹介しています→ 

「香月泰男画文集 <私>の地球」
立花 隆「シベリア鎮魂歌ー香月泰男の世界」
香月さんの小品を、かつて奈良町の雑貨店で見て、とても惹かれるものがあり、画家の名前を尋ねて覚えていたのです。
その後、2004年に静岡県立美術館で開催された「香月泰男」展で〈シベリア・シリーズ〉が全品出展されていると新聞記事で知り、居てもたってもいられなくなって日帰りで静岡まで観に行きました。
シベリア抑留中の鮮烈な体験をもとに描かれた作品は、どーんと重いものを突き付けながらも、何というか、静かな感動というか、すごく昇華された美しいものを感じさせてくれて、その場を立ち去りがたい気持ちでいっぱいになった記憶があります。
その時に買った本が、立花隆著「シベリア鎮魂歌ー香月泰男の世界」です。立花さんは、香月泰男さんの生前の著書『私のシベリア』の実質的な執筆者、ゴーストライターであったそうで、その「私のシベリア」が再録されているのです。また、シベリアシリーズの全作品が収録されているのも価値ある一冊。
今回の「ブックカバーチャレンジ」で紹介した本の中には、過去に読んで、もう一度再読したいと思う本も多く、この「シベリア鎮魂歌ー香月泰男の世界」もそんな一冊でした。
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もう一冊、図書室をごそごそしていて見つけた本も一緒にご紹介。
白井明大「季節を知らせる花」
四季折々の草花と、その花にまつわる詩歌と詩人の文章、添えられた美しい木版画。こちらは画文集ではなく、詩人が綴る随筆ですが、旅の夜のお伴に楽しめる一冊ではと思います。