2020年5月15日金曜日

奈良倶楽部の図書室から*その④

「7days BookCover Challenge」
第4回目にご紹介する図書室の蔵書は、旅心くすぐられた2冊を。
池澤夏樹「ハワイイ紀行」
小澤征爾「ボクの音楽武者修行」

まず、裏表紙に書かれた紹介文を青字で転載します。
「ハワイイ紀行」・・・「南国の楽園」として知られる島々の、本当の素顔とは? キラウエア火口を覗き、タロ芋畑を見に行き、ポイを食べる。サーフィンやフラの由来を探り、航海技術の謎を探る……綿密な取材で綴る、旅の詳細なレポート。

今まで読んだ紀行文とは全く異質のものでした。
旅のレポートとは、観光スポットやレストランなど実際の情報を集めるために読むという認識でしたが、この本はちょっと違いました。
池澤夏樹さんの、簡潔で美しい比喩を使った表現テクニックにも惚れるのですが、テーマをハワイイの自然と先住民の文化などに絞って、現地の人と会って生まれ出たものが書かれています。
それが日本人にも通じる自然崇拝の気持であったりと、とにかく共感するところ大で、ハワイイへのイメージが変わりました。
特にフラについての章は、読み終えてから、もう一度ハワイイに飛んで行って、本物のフラを体験(拝見)したいと思いました。
観光地奈良についても、このような紀行文があるのかなぁと、ふと思うのは観光業者のサガでしょうか(笑)。

「ボクの音楽武者修行」・・・「外国の音楽をやるためには、その音楽の生まれた土地、そこに住んでいる人間をじかに知りたい」という著者が、スクーターでヨーロッパ一人旅に向かったのは24歳の時だった……。ブザンソン国際指揮者コンクール入賞から、カラヤン、バーンスタインに認められてニューヨーク・フィル副指揮者に就任するまでを、ユーモアたっぷりに語った「世界のオザワ」の自伝的エッセイ。

いつ頃読んだ本か記憶にないのですが、20年以上は経っていると思います。私事ですが、2年前に息子が建築家武者修行で渡欧する前に、この本を読んで自分を鼓舞したらしく、今回の「ブックカバーチャレンジ」の機会に読み返しているところです。
小澤征爾さんの、周りの人を魅了する優しいお人柄を、この自伝エッセイから知ることができ、一緒に異国の文化に触れて世界に羽ばたく(旅する)気分も味わって、ただいま現在進行形で、再読を楽しんでいます。