2025年3月12日水曜日

二月堂修二会2025*3月11日の祈り

3月11日 
奈良倶楽部開業記念日、そして東日本大震災が起こった日。

14年前の修二会本行中に起こった「神も仏もない」と思えるような大災害に、当時の私はただただ辛くて、こんな時だからこそ祈らなければと思いながらも、それまで毎晩のように通っていた修二会に出かける気持ちになれなかったことを思い出します。

被災された方々へ心を寄せ、心の中ではずっと祈っていても、二月堂にお参りして祈ることが正直できなかったのです。

悶々と過ごして、迷っているくらいなら出かけようと、最終日の14日の最後の時間に二月堂に向かったこと。

当時、北河原公敬管長よりお松明の前に、参拝者の皆さんへというメッセージがあり、その中で
被災され亡くなられた方々のご冥福をお祈りする。
今、困難な状況にいらっしゃる方々へ思いを馳せる。
社会復興の為にそれぞれの立場で各々の力を尽くす。
・・・というようなことをおっしゃって

素直に祈りを捧げられるのかどうか、自分でも自信がなかったのでしたが、でもそんな些細なことに拘らずに、他者を想い心を寄せ、今の自分に出来る 小さな祈りを捧げようと、管長の言葉に少し励まされたのでした。

今だに修二会は「祈る」より「見る・聴く・知る・学ぶ」ことの比重が大きいものなのですが、3月11日にはその時の気持ちを思い出して、今年も観音様に祈りをささげ、護っていただいていることの感謝をお伝えすることができました。



令和7年3月11日の聴聞は、「初夜」咒師作法より「半夜」法華懺法までを西の局で。
本手水の後の内陣掃除で戸帳が上げられると、須弥壇正面の小観音さんの御厨子もよく見え、たくさんの灯かりに荘厳された内陣がとても美しく煌めいて見えます。有難い気持ちでいっぱいになって、観音様に手を合わせて局を後にしました。