2023年3月13日月曜日

二月堂修二会2023*「堂外での聴聞」

コロナ禍で局での聴聞が不可になって3度目の修二会ですが、今年も3/11までは二月堂のお堂の外で聴聞することができました。
何日か行ってまいりましたので、自分メモ的に記録しておきます。

深夜の聴聞。
毎年のことですが、お松明にお出かけのお客様方が戻って来られて、私自身の仕事が一段落ついた夜の10時頃から二月堂へ伺うことが多く、今年もそのような聴聞をしていました。

3/2
23時の半夜から入って「法華懺法」を聴き、1時半の下堂まで。

二月堂裏参道。お松明見学時はこの道から進入できませんが(帰りの一方通行になります)、夜遅くはこちらから二月堂へ。
結界の注連縄をくぐるだけで、一年ぶりにまたここに来ることができたと、気持ちが高揚します。
お松明の竹がたくさん!
見るもの何もかもが嬉しくて、舞台に上がるまでにあちこちカメラに収めてしまいます。
修二会の期間に吊るされる菱灯籠と煌めく奈良の夜景も。
今年の修二会は、後半が非常に暖かい日が続きましたが、前半はとても寒くて、この日も長時間の聴聞に耐えられるかどうかの冷え込みでした。
でも、一年ぶりの「法華懺法」を聴いて、最後まで聴きたいという気持ちが強くなって何かに取りつかれたような勢いで下堂まで聴聞。
来られていた方も少なかったので耳を澄ますこともなく、後夜の「散華行道」「称名悔過」「宝号」に聞き入りました。
晨朝「粥食偈」の後、下堂される堂童子さんと堂童子の童子さん。
この後の練行衆下堂はInstagramに動画で上げています→

3/5
2日に遅くまで聴聞していたので3日と4日はお休みして体調を整え、今年こそは5日と12日にしか唱えられないという「後誓と勧請」を聴きに行こうと、ピンポイントで30分間だけ二月堂へ向かいました。
「後誓と勧請」というのは、5日と12日のみ、初夜の大導師作法と呪師作法の間に差し挟まれる大変美しいお声明で、2016年に偶然にも耳にすることができ、いつかもう一度聴きたいと願っていたものです。
中々タイミングが合わずに7年越しに聴くことができたのですが、歌を歌っているような調べにうっとり聞き入りながら、感無量でした。
実忠忌という大事な法会の全体を聴聞することなく、聴きたいものだけをピンポイントで聴聞するのは本末転倒かと思いつつ、観音様に許しを乞うてしまう勝手な聴聞者となった夜でした。

3/8
初夜 咒師作法「教化」~半夜「法華懺法」~ 本手水「内陣掃除」~後夜「教化」~晨朝「粥食偈」~下堂まで
修二会14日間の後半にあたる下七日(8日からの7日間)は、下堂時間も1時間ほど早くなって聴聞者にとっては身体が楽に感じます。
また、これも聞きたい一節ですが、初夜と後夜の咒師作法の最後に唱えられる「教化きょうけ」は下七日になってから唱えられるので、私が二月堂に向かうのはどうしても後半に偏ってしまい、今年も3/8から3/11まで4日間通しで聴聞に伺いました。(22:00出発~1:30帰宅)
8日の「法華懺法」は中灯の清水師が初めてのトウを務められて、ガワのお二人との唱和も美しく贅沢な聴聞となりました。
写真は、練行衆が北出仕口から出てこられる下堂前の様子。
手松明をもって今か今かと待ってらしゃいます。
(そして私達もカメラを動画設定して今か今かと待っています)

3/9
この日も8日と同じく、22:00頃に二月堂へ。
初夜 咒師作法「教化」~半夜「法華懺法」~ 本手水「内陣掃除」~後夜「教化」~晨朝「粥食偈」~下堂まで堂外で聴聞。
結界の向こうに煌めく二月堂。
修二会の間の二月堂はいつにも増して美しく、その中へ伺うだけで有難いと思えるのです。
南の階段から上がって、まずは正面、観音様にご挨拶して、いつもの定位置へ。

この日は夜の聴聞者が10人いらっしゃらないくらいで、長時間の聴聞中はあちこち歩いて身体を伸ばしたりストレッチしたり、そして月夜の明るさに写真もたくさん撮ったり。
チョーズチョーズのお見送りをしているのは、ほとんどが知り合いの修二会好きさんばかり。情報交換したりのおしゃべりも楽しい聴聞でしたが、スマホで写真を撮りすぎた私は祈りの法会に身を置いているのかどうかと自問してちょっと反省した夜でした。

3/10
8日9日と同じく22時出発、初夜 咒師作法「教化」から半夜「法華懺法」まで。前日の反省を踏まえて、今日こそは声明を心静かに聴こうと短い時間の聴聞としました。
お月さまの美しい夜。
連日遅くまで堂外で聴聞しているので身体がガシガシですが、それでもここに来られてよかったと有難い思いで二月堂へ向かいました。

3/11
8日9日と同じく22時出発、1時過ぎに帰宅。
初夜 咒師作法「教化」~半夜「法華懺法」~ 本手水「内陣掃除」~後夜「教化」~晨朝「粥食偈」~下堂まで。
12日の籠松明に備えて北側の菱灯籠が外されていて、明日はいよいよ「お水取り」。お松明後に二月堂に上がれるのは11日が最後です。
奈良倶楽部開業記念日であり、東日本大震災の日でもありますので、心静かに祈りを捧げ、奈良倶楽部をいつも護って下さっている観音様に感謝の気持ちをお伝えしたいとお参りにあがりました。

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自分なりの今年の反省点ですが・・・
コロナ前の局での聴聞と違って、堂外では割と自由に小声で話もできるし歩き回ることもでき、スマホを見ることも(明かりを漏らすことも)でき、写真や動画も撮れます。(※堂内の撮影は不可です)

局の中では絶対に許されなかったことが堂外では割と自由にできて、それがいいのかどうか・・・局の中で聴聞していた時にはもっと観音様へ気持ちをぐーっと持って行っていたのに、今年はとてもふわふわした浮ついた気持ちでの聴聞となったと反省しています。

そんなことを思いながらも、やっぱり下堂の様子は動画で撮ってしまって、Instagramにまたアップしています。→

また、個人的にはもっと予習と復習をしていけばよかったと、その点も反省ですが、これは来年の私へ申し送りしたいと思います。

何だかんだと思いながらも、今年も深夜の堂外聴聞を何日かできたこと、昨年より確実にひとつ歳を取っているにも関わらず、体調を整えて二月堂に通うことができて有難いことでした。ありがとうございました。

最後に・・・お昼の聴聞もお薦めです。
11日以降、夜の聴聞はできませんでしたがお昼は二月堂へ上れます。
修二会と言えば夜の法要と思いがちですが、夜の長時間堂外での聴聞が体力的にご無理な場合は、お昼の法要を聴聞されるのもいいかと思います。