2022年2月22日火曜日

二月堂修二会2022*「御輿洗いと内陣掃除」

練行衆別火入りの翌朝
2月21日は二月堂堂内にて「御輿洗いと内陣掃除」が行われます。
行事のタイムスケジュールを、小学館刊行の「東大寺お水取り-二月堂修二会の記録と研究」(以下「小学館刊行本」と呼びます)で確認して、8時半に二月堂に着くように出かけました。
風は冷たいけれど、美しい陽光ふりそそぐ二月堂への道。
お松明拝観場所の準備も整っています。
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「小学館刊行本」に書かれている、堂司と平衆が別火坊を出発して二月堂に入堂するまでの一連の所作を拝見するには、もう半時間早く出かけなければいけなかったことに後で気が付きました。
取り敢えずは、すでに始まっている内陣掃除の様子を西の局から格子越しに拝見します。

「御輿洗い」とは小観音さんの御厨子を祓い清めることで、礼堂の南寄りに安置して、平衆の上座の4人で荘厳します。
格子戸越しですが、とても近いところに安置された御厨子を朝の明るい時間に拝見できて、その美しさにびっくりしました。
内陣の扉も開けられていて、戸帳も須弥壇を荘厳しているものも何もないので、真正面にしっかりと須弥壇を見ることになり、須弥壇の下段の様子もぼんやりと拝見できました。
礼堂の北寄りには道具箱が置かれて必要なものを取り出したり、そうこうするうちに五体投地板が運ばれてきて、間に入れる枕木の位置を決めるために、練行衆の何人かが実際に五体投地をして、その具合を確かめたりされていました。
この日、局には4人ほどの見学者。北に寄ったり南に寄ったり正面に座ったりと、贅沢な見学をさせていただけました。
内陣掃除が終わると、一同は礼堂に着座し堂童子が内陣正面の扉を閉め施錠して退出されます。
北出仕口から退出して一同礼をして
登廊を降りて行かれます。




練行衆の後は、三役さんが別火坊で必要なものを持って降りて行かれました。

こちらは、左手に「悔過板けかいた」、右手には「常燈の覆い」を持っています。これは何だろうと、詳しい方にお聞きすると「東大寺辞典」に、この二つを別火坊では床の間に飾って祀ると書いてあるということで、p103「悔過板」の項に、現在のものは寛文年間に作られたものとありました。

また「小学館刊行本」p109には「常燈の覆い」のことが書いてありました。唐草の透し模様、冠型の外枠は金銅製だが、内側に仙花紙が張ってあり、毎年新しく張り替えるとあります。
こちらは昨年の修二会で須弥壇を荘厳していた南天を桶から取り出して、桶だけ別火坊へ運びます。
(南天は一年間、南の局に置いてありました)
古い南天はいただいてもいいということで、2本持って帰りました。




いただいた南天を早速飾ってみました。
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コロナ禍で2度目の修二会を迎えました。
今年も感染防止対策としてお松明拝観に規制が設けられています。
(詳細は東大寺HPをご覧ください→
また3/1~3/14の期間中は「ニコニコ動画」にて、お松明の様子などご覧いただけるようになっています。
修二会が大好きで、コロナ禍以前は行事の追っかけをしたり、仕事が一段落して夜中に聴聞に伺ってはその感動をブログに綴ったりして、書くことによってまた勉強になったり、お客様にも喜んでいただいたりしていました。「拝観に行けないからブログを楽しみにしています」というお声を今年もいただいて有難いことですが、コロナ禍であまり無理せず、それでもこうして楽しみに待って下さっている皆さまに少しでも修二会の雰囲気をお届けできればと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。