2022年3月13日日曜日

二月堂修二会2022*「夜の聴聞」

今年の修二会もコロナ感染症対策のため二月堂堂内や局での聴聞ができず、ニコ生動画で二月堂の様子を拝聴できるようになっています。
毎年お越しの多くのお客様方もご自宅で修二会に想いを馳せていらっしゃる。来たくても越れないもどかしさの中にいる多くの方に申し訳ないと思いつつ、夜の聴聞に何度か伺いました。

昨年の聴聞では、練行衆の唱えられる祈りが漏れ聞こえる二月堂一帯が何ともいえない荘厳さに包まれているように感じて、今年もまたその空間に身を置きたいと、時々はその日にお泊りのお客様方とご一緒に参りました様子を、自分用メモもあってここに記しておきます。

といっても、外での聴聞は完全な防寒対策をしても長時間はちょっと身体に堪えますので、今日はここからここまで、明日はその後から最後までと「法華懺法」をはさんで、1~2時間の聴聞になっています。
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3/3  22:30出発
半夜 法華懺法~本手水~後夜の五体投地まで
まだ先は長いので無理せず、大好きな「法華懺法」と、悔過作法の「散華行道」「大呪願」「称名悔過」「宝号」を生で聴いて一気に修二会の世界を感じることができ有難い気持ちで、1時間ほどで二月堂を下りました。


3/8  21:30出発
初夜大導師作法「諷誦文」~初夜咒師作法「教化きょうけ
半夜~「法華懺法」~本手水「内陣掃除」まで
下七日になって唱えられる「教化」をまず聴けたこと、「教化」は初夜と後夜の咒師作法の後に挟まれるのですが、この日は初夜だけで満足しました。
「いさぎよき補陀の都に・・・法の声常に聞かむと杖奉る声奉る」
上野周真師の咒師作法は東側北寄りで拝聴しました。
また「法華懺法」の後、本手水から戻った平衆の内陣掃除の折に戸帳が開けられて、須弥壇の周りの煌めいている様子が、西の局の扉の隙間(1cmもないくらいの隙間!)から垣間見ることできるのです。
鹿さんの夜食タイムを今年も見守り、23:30頃に戻りました。

3/9 22:20出発
初夜 咒師作法「教化」~半夜「法華懺法」~
本手水「内陣掃除」~後夜「教化」~晨朝「粥食偈」~下堂
この日は初めて下堂まで聴聞できました。
チョーズチョーズの下堂の様子はInstagramに動画を上げています
そして後夜の「教化」も聴くことができ、晨朝の「粥食偈」で唱えられる和上さまのお声も耳を澄ませて聞き入ることができました。
下堂は日付が変わって0:50くらい。
2時間半ほど堂外で聴聞していると身体がぎしぎししてくるので、身体を伸ばしたり歩いたりして、局の中で聴聞するのとはまた違った様子で臨みます。またお作法によっては東側の方がよく聞こえたり南側がよかったりするので、割とあちこち歩いて聞くことになります。
その途中で舞台から撮った写真
お松明の重さと煤で欄干が軋んで黒くなっています。
三日月から半月になりかけのお月さま。
毎晩通っていると月の満ち欠けもよくわかってきます。
練行衆が皆さん下堂されると、扉が開け放たれますので、残っている人たち皆が観音様へ祈りをささげて二月堂を下りてゆかれます。人も少なく(数人から十人ほど)とても静かなお参りです。

3/10 22:00出発
初夜 咒師作法「教化」~半夜「法華懺法」
この日は初めて聴聞される方と二晩続けての方のお二人とご一緒に伺いました。二月堂に着く前におよその内容をお知らせして、上では静かに耳を傾けます。
連日の聴聞で身体が堪えてきて、私と初めての方は1時間ほどで帰りましたが、2日続きで聴聞の方は最後まで残っていらっしゃいました。
この日は急に暖かくなったせいか夜の聴聞者も増え、たくさんの知り合いに会えた夜でした。
そして翌朝。晨朝の「粥食偈」で唱えられる和上さまの声が違う声だったとおっしゃるので、そんなことがあるのか、あちこち尋ねてみると・・・
このパートを和上以外の練行衆が唱えることが今までにもあって、そういうお遊びが入る部分が他にもあるそうなのです。
(ちなみに、11日は和上さまの声でした)

3/11  24:00出発~0:50下堂
後夜 咒師作法「教化」~晨朝「粥食偈」~下堂
この日は20:00~21:30にあったバスターミナルでの催しの後に、一旦奈良倶楽部に戻って仕事をして、夜に二月堂へ上れる最後の日なので、日付が変わる頃に名残を惜しむ気持ちもあって伺いました。
やはり同じようにお名残惜しい気持ちの方々が大勢こられていて、皆で最後の下堂を見守りました。
大導師、和上、咒師のお三方が出てこられるのを待つ仲間さん達。
長い一日がもうすぐ終わるこの時間、少しほっとした気持ちでいらっしゃることでしょうね。
翌日12日の籠松明に備えて、北側の菱灯籠は外されています。
舞台もたっぷりの水気を含んでいました。
3月11日、東日本大震災のあった日。そして奈良倶楽部開業記念日。
たくさんの想いが心の中を駆け巡り、観音様へ感謝の気持ちをお伝えして、世の中の安寧を祈りました。
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二月堂はお堂の北側だけ立入禁止区域になって、西・南・東側は自由に移動してお堂の壁や扉の隙間に耳を当て身体を預けて全身で聴きます。夜の静けさの中では意外に良く聞こえて、二月堂全体が楽器となって声明のリズムが奏でられているのではと、時々錯覚をしてしまうこともあります。
夜に二月堂に上がれるのは11日が最後、少しの時間でしたがお参りに上がれてよかったです。来年はどのような聴聞になるのかわかりませんが、今年もこうして、内陣から聞こえる祈りの声に心を合わすことができ有難いことでした。ありがとうございました。