2019年12月15日日曜日

奈良博で開催中の2つの展覧会*

奈良国立博物館では、特別陳列「おん祭と春日信仰の美術」と
特別陳列「法隆寺金堂壁画写真ガラス原板」の2つの展覧会が
来年1/13まで開催されています。
先日の「鹿寄せ」お当番の帰りに立ち寄ったのですが、どちらも素晴らしく見ごたえがあり、かなりの時間を費やしてしまいました。
12/17のおん祭お渡り式の日は観覧料金が無料になりますので(しかも19時まで開館)、是非ご覧ください。お薦めです。
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まず「おん祭と春日信仰の美術」は、毎年「春日若宮おん祭」の前後に企画される恒例の展覧会。今年は「春日大社にまつわる絵師たち」という特集で、中世から近世にかけてさまざまな絵師によって描かれたおん祭の祭礼図を紹介するとともに、同じ頃、春日大社の御造替にかかわった絵師にスポットをあてています。
まず驚いたのは、展示室を入ったところに「春日大社本殿御間塀おあいべい」が3面!これは、この前の式年造替の時に剥がされたもので、この障壁画を間近に拝見できて有難いことでした。
また、興味深かったのは、狩野探幽が若宮祭礼絵巻をとても小さなサイズで描いていたこと。
毎年恒例の企画ながら出陳品に工夫があり、春日大社が持つ宝物の数々に新鮮な驚きを覚えます。
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また「法隆寺金堂壁画写真ガラス原板」の展覧会も素晴らしくて、見ていて時間が足りなくなるくらい、中身の濃い展覧会でした。

奈良博HPに書いてある解説↓通りなのですが、抜粋しますと
明治4年(1871年)には蜷川式胤の発案により横山松三郎が旧江戸城を撮影し、翌年のいわゆる壬申検査(日本ではじめての本格的な文化財調査で)でも数多くの宝物や建物が写真におさめられました。以来、文化財は主要な被写体であり続けます。
昭和10年(1935年)には文部省の国宝保存事業の一環として、京都の美術印刷会社便利堂が法隆寺金堂壁画十二面を撮影し、巨大壁画の精緻な記録作成に成功しました。昭和24年(1949年)の火災により壁画は惜しくも損傷を免れませんでしたが、このときの写真は往時のかがやきを伝える存在として貴重です。平成27年(2015年)にはこれらの写真の歴史的・学術的価値があらためて評価され、国の重要文化財に指定されました。この展覧会では、法隆寺金堂壁画写真ガラス原板を中心に、近代以降に多くの人びとが文化財の写真撮影に精力を傾けた軌跡を振り返ります。

「法隆寺金堂壁画の焼損前の姿を詳細に写した唯一無二の記録」が大きくクローズアップされた展覧会ですが、文化財の調査や研究に果たした写真技術の役割について、文化財写真の歴史を振り返りながらの展示が非常にわかりやすく、また、この展覧会のために高精細デジタル撮影された写真が、昭和10年に撮影された写真と並んで展示されていたのも興味深かったです。
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特別陳列「おん祭と春日信仰の美術
特別陳列「法隆寺金堂壁画写真ガラス原板
会期:2020年1月13日まで
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※毎週金・土曜日は20:00まで(12/28除く)
※12/17は19:00まで
休館日:毎週月曜日と1月1日(12/30と1/13は開館)
観覧料金:一般520円 / 大学生260円 / 18歳未満と70歳以上は無料
※この観覧料で同時開催の2つの特集展示と仏像館と、12/24~1/13に開催の特集展示「新たに修理された文化財」もご覧いただけます。
※12/17(おん祭お渡り式の日)はすべての方が無料。