2021年11月14日日曜日

「北山十八間戸」特別公開

昨日に続いて今日も 「奈良町見知ル」イベントの一つで「北山十八間戸」が特別公開されてましたので、見学に行ってきました。

「北山十八間戸」は、鎌倉時代に忍性菩薩によってつくられた福祉救済施設で、江戸時代に東大寺や興福寺を望むこの場所に移築再建され、明治初年まで使用されていました。
奈良倶楽部から徒歩10分程の、旧奈良監獄の手前に位置しています。
上の写真↑は、北側から見たところで、普段でもこちら側から建物は見ることができますが、敷地内に入るには手前の「お好み焼・三角屋」さんに事前予約をしないと入れません。
今回は敷地内、そして建物の中にも入れるということで、大変貴重な機会でした。敷地に入って南側から建物を見た様子↑

建物は全長約38メートル・幅約4メートルの東西に長い棟割長屋で、内部は18室に区切られ、さらに東西に仏間があります。
その仏間では、4年前(2017年)の「忍性菩薩生誕800年記念」の年に、般若寺・工藤顕任副住職の発願にて、忍性菩薩の功績を顕彰する目的で、文殊菩薩の開眼法要が行われました。
忍性菩薩は、師僧の叡尊上人をして「慈悲が過ぎた」と言わしめた僧侶で、常に苦しむ者たちに心を寄せ、病者・弱者・乞食・非民の救済に尽くして「日本の社会福祉の父」と呼ばれた方。工藤顕任師は忍性菩薩を心から尊敬し、忍性菩薩が「28歳で自作の文殊菩薩を開眼した」ことにならい、ご自身でも文殊菩薩の画を作成され、忍性菩薩ゆかりの「北山十八間戸」で開眼法要を営まれたのです。
上の写真↑右端が工藤顕任師自作の文殊菩薩の画。
下の写真↓には忍性菩薩像と、その法要の様子の写真が。
建物内部はとても綺麗で清潔で、明治初年まで福祉療養施設として使用されていたようには感じませんでした。

建物からは東大寺や興福寺を望むことができ、さぞや療養中の心の慰めになったのではと思いました。
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奈良町見知ル」は今日14日までの催しで、2週に渡る週末に興味深い企画が行われていました。私自身は、正倉院展の繁忙期と重なったために2件しか見ることができませんでしたが、行かれたお客様方には評判も良く、来年も継続して開催をしてほしいと願っています。