「富本憲吉入門~彼はなぜ日本近代陶芸の巨匠なのか」
富本憲吉は、ご存知のように奈良県を代表する芸術家として、これまでにも何度も県美で取り上げられています。
ブログで鑑賞記を上げるのも過去に2回あります。
2016年「富本憲吉 憧れのうぶすな」展 ★
2011年「富本憲吉 模様の世界」展 ★
今回は3年ぶりの企画展。
タイトルにある通り「彼はなぜ日本近代陶芸の巨匠なのか」という切り口から、彼の美の感性がいかにして育まれたのかを理解するための、富本芸術の入門編という構成となっています。また新収蔵品21件のお披露目もあって、富本ファンとしては嬉しい展覧会でした。
展示構成は以下の通りです
1:富本憲吉の生い立ち
2:大和時代―作家としてのスタンスの確立
3:東京時代―洗練される作風、そして色絵磁器へ
4:京都時代―終わりなき創作への意欲
5:くらしを彩る―日用品の制作と量産の試み
会場には、富本憲吉が残した言葉がパネル展示されていました。
その中の一つですが、印象に残った文章を記しておきます。
「私は前述のように記憶が幾分混入してもやはり直接草花から描くことを今もやり続けている。構成的なもの、幾何的なものも、一切実際のものからやりあげるようにしている。自然からという言葉は一種の合言葉のようにどこでも誰にでもいわれることだが、世上一般の模様を見ると絵の写生で未だ一歩も模様にふみ込んでいないもの、便化とか応用とか雲をつかむような言葉にかくれて自然の美しい均衡を破ればあるいは特別に曲げて左右相称にしたものが模様であると心得ている者が多いようである。一体模様とは如何なるものかということさえ充分論議されずにただ天平を楽浪を何時まで繰りかえすつもりだろうかと思う。」
「富本憲吉入門~彼はなぜ日本近代陶芸の巨匠なのか」
会場:奈良県立美術館
会期:2019年6/29(土)~9/1(日)9:00~17:00
休館日:毎週月曜日(7/15と8/12は開館)と7/16・8/13
会期中の催し:
◆7/21 14:00~15:30
講演会「富本憲吉の遺品写真からみる、制作と暮らし」
講師:森谷美保氏(実践女子大学・学習院大学非常勤講師)
場所:1Fレクチャールーム(80席・先着順)
◆8/18 14:00~15:30
美術講座「富本憲吉の模様と形」
講師:飯島礼子氏(県美主任学芸員)
場所:1Fレクチャールーム(80席・先着順)
◆学芸員によるギャラリートーク
日時:7/6・7/20・8/3・8/17・8/31 14時~