2019年10月26日土曜日

「御即位記念 第71回 正倉院展」鑑賞記

御即位記念 第71回 正倉院展
今年の正倉院展は、天皇陛下の御即位を記念した、正倉院宝物の成り立ちを示す宝物や、宝庫を代表する宝物、シルクロードの遺風を感じさせる宝物がたくさん出陳された展覧会となっています。

会期前日の内覧会。
これからお出かけのお客様に、展覧会の内容や見どころについてはもちろんですが、会場の様子についてもご案内できるよう、一足お先に鑑賞させていただきました。

展示室を回る順に主な宝物を紹介していくと・・・
(写真は「奈良国立博物館」公式ツイッターと図録より、文章は図録を参考にしました)

東新館では・・・
『赤漆文欟木御厨子』
聖武天皇と光明皇后の婚礼に際して取り交わした結納の品や装身具や小物類などが納められていた大型の厨子。天武天皇から、持統、文武、元正、聖武、孝謙と歴代の天武系の天皇に継承されたという由緒が記されている。
実際に見るとかなり大きく美しいですが、図録によると明治時代に著しく破損した状態で発見され、二度の修復、新補された部分も記載されていました。

『紅牙撥鏤尺と緑牙撥鏤尺』
精密で華麗な文様、デザインのセンス、深い色味。特に紺色の撥鏤尺を見ることができて眼福に尽きるのでした。
『七條刺納樹皮色袈裟』
赤・青・黄・緑・茶などの平絹を不規則な形に裁ち、これらを刺縫いの技法で継ぎ合わせて作られている。これは糞掃衣(ふんぞうえ)とも称される、端裂を集めて縫い合わせ仕立てた袈裟に擬えたものと考えられ、袈裟の本義を踏まえたものと理解される。
布好きポジャギ好きとして、見たかったものの一つ。
刺し縫い技法を確かめたかったけれど、継ぎ合わせがわからないくらい一枚の布に同化していました。それにしても、端裂を集めて縫い合わせたものを「糞掃衣」と言う、ネーミングの妙にびっくり。
金銀平文琴
図録の表紙やチケットデザインにも使われて、実物の大きさを想像しにくかったのですが、実際に見て、描かれた文様すべてが素晴らしく、もう一度じっくり拝見したいと思いました。
(図録には文様の拡大写真多数です)
『鳥毛立女屏風』
2014年の正倉院展から5年、六扇すべて揃った『鳥毛立女屏風』が並んだ様子は圧巻でした。第六扇(写真の左側↑)は面相部を残して全て後補。

西新館では・・・

『礼服御冠残欠』
たくさんの残欠の一つ一つに心うばわれます。すごい!
『衲御礼履のうのごらいり
聖武天皇が大仏開眼会で履かれた儀式用の靴。赤く染められた牛革で作られていますが、何と鮮烈で気品のある赤なのでしょう。
『子日目利箒』
蚕を飼う部屋を掃き清める宮中儀式に使った箒で、枝の一部に濃緑色のガラス玉が残っています。
この箒を置くための台も素晴らしかったです。
『紫檀金鈿柄香炉』
高級材の紫檀製の香炉で、僧が儀式で使ったもの。
金や水晶、ガラスで装飾されて、ただただ美しい。
『金銀花盤』
以前に拝見したものも多かった今回の展覧会。
この花盤も見たことがある記憶が・・・でもこんなに大きかったのですね。圧倒されました。
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まだまだ他にも、これがよかった、あれが素晴らしかったと、ご紹介したいものがたくさんありますが・・・個人的に気に入った出陳品を写真とともに紹介した鑑賞記とさせていただきました。
そして毎年のことですが、会場では、天平の至宝に心掴まれるひとときを味わってきました。 奈良倶楽部に戻ってからも、この感情は持続していて、観てきた宝物を思い出しては胸の中にじんわり温かいものが溢れ出て、幸せなことです。
図録や正倉院展についての参考資料などを
ラウンジスペースに置いていますのでご覧ください。
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御即位記念 第71回 正倉院展
開催期間:10/26(土)~11/14(木)※会期中無休
開館時間:月~木:9:00~18:00 / 金土日祝:9:00~20:00
     ※入館は閉館の30分前まで
会場:奈良国立博物館 東新館・西新館