2025年5月20日火曜日

「超 国宝」展*後期展示へ

奈良国立博物館開館130年記念特別展「超 国宝ー祈りのかがやきー」
5/20からの後期展示へ行ってきました。

お目当てはもちろん、最後の展示室の真っ白い空間にいらっしゃる中宮寺の菩薩半跏像!
その他に後期からお出ましの国宝の数々を拝見するのも楽しみに行ってまいりました。
ちなみに混み具合をよく尋ねられますが、平日の午後2時頃だと(チケットを事前に用意している前提で)待ち時間なしで入場でき、館内も昨年のコロナ明けの正倉院展並みでした。

わくわくしながら展示室へ、入ったところの百済観音様の素晴らしさに何度拝観しても涙が出そうになります。
法隆寺でも何度か拝観して、その折にも感動しているのですが、奈良博会場ではまた違った気持ちで感動してしまうので不思議です。

では今回も章ごとに印象に残ったものなど後期展示の国宝を中心に、個人的鑑賞記を記していきたいと思います。
参考までに、前期展示のブログ内鑑賞記はこちらです→

第1章の「南都の大寺」
後期展では、東大寺からの国宝が私の中で印象深かったです。
前期からいらっしゃる「重源上人坐像」に圧倒的されながら、後期展示の、華厳宗の中心的な経典「華厳経」に書かれる善財童子の善知識歴参を絵巻にした「華厳五十五所絵巻」がほぼすべて見られて眼福!

図録にはほんの一部しか掲載されてませんが、絵巻を全長展示してある様は圧巻でした。

そして大仏殿前に立つ「金銅八角燈籠火袋羽目板」
展示の壁面に、八角燈籠の竿の部分にある銘文の和訳文がパネル展示してありました。その文章に惹かれたので書き写してきました。
仏の塔廟に燈明を捧げれば、臨終のときに三種類の智恵を得ることができる。
一つには臨終のとき、それまで作り上げた幸福がすべて現れ、善き教えを思って忘れることがない。この思いによって心に喜びを生じることである。
二つにはこれに従って仏を念じる心がおき、よく施しをする喜びの心を得ることで死の苦しみがないことである。
三つにはこれに従って正しい教えを思う心を得ることである。
奈良博の展示では時々こうしたキャプションがあって、その展示から仏の教えや祈りについて、より膨らんで考えることができたりします。

「弥勒仏坐像(試みの大仏)」東大寺↑奈良時代につくられた大仏様のお顔はこんな感じだったのかなと想像しながら拝見。
「地蔵菩薩立像」東大寺↓(写真右)も「試みの大仏」と同じく2011年に東大寺ミュージアムができるまで長い間奈良博に寄託されていたのだそうです。
写真左の「弥勒菩薩立像」↑林小路町自治会所有の仏様の美しさにもびっくり。前期展示でもいらっしゃったのに気が付かず。今回あらためて拝見できてよかった!

第2章「奈良博誕生」
何といっても藤田美術館から出陳の「空也上人像」
国宝ではありませんが、印象深いです。

そして、奈良町に住む友人から「個人蔵とあるのはうちのよ」と連絡をもらった「奈良博覧会立札」と「奈良集産館立札」↓
ご自宅玄関先にずっと置いてあったってすごいですね。

第3章「釈迦を慕う」

西大寺「叡尊坐像」の視線の先には清凉寺「釈迦如来立像」!
清凉寺の釈迦如来立像を深く帰依した叡尊上人によって、西大寺の釈迦如来像は清凉寺像の前で彫刻作業が行われ開眼されたそうです。模刻でありながら、姿かたちを克明に写したのではないことが、写真展示されている西大寺像を見てわかりますが、像を前にしての制作や開眼は、像が持つ霊力を模像に直接分け与えようとする意図があるということです。(図録のコラム3より)

深大寺「釈迦如来倚像」↑と室生寺「釈迦如来坐像」↓
これら清凉寺・深大寺・室生寺は釈迦如来像の3パターン代表のようです。

第4章「美麗なる仏の世界」

前期展示で子島曼荼羅を展示した場所に何が掛けられるのか楽しみにしていました!「釈迦金棺出現図」↑
図録で見て実際に見るのを楽しみにしていた「虚空菩薩像」↓
美し過ぎる~!
また、前期展示で最後の真っ白い展示室にいらっしゃった京都・宝菩提院願徳寺の「菩薩半跏像」はこちらに移ってこられていました。
真っ白い展示室でなくても、大勢の仏様たちとご一緒でもすごいオーラを放ってらっしゃいました。それにしても木像とは思えない金銅仏のような黒光りのお像に、信仰の深さを感じます。

第5章「神々の至宝」
「吉祥天像」も「玄奘三蔵絵」も「金地螺鈿毛抜形太刀」も「春日権現験記絵」も帰ってしまわれて寂しいのでしたが、「一遍聖絵」が素晴らしかったのでした↓
丁寧な解説がつけてあって、こういうところが嬉しいのです。

第6章「写経の美と名僧の墨蹟」
聖武天皇の「賢愚経(大聖武)」↑や「吉備由利願経」↓
最澄筆(上)と空海筆(下)↓
等々を一堂に拝見できるのは凄いことだと噛みしめながら・・・

第7章「未来への祈り」

最後の一室に中宮寺の「菩薩半跏像」
息をのみながら心ゆくまで拝観させていただきました。

そして16時過ぎ、もう一度最初の展示室に戻ると、百済観音様の周りには人も少なくこちらも心ゆくまで有難く拝観できました。

※ブログ内の画像は図録より撮影したものです。

::

会期:2025年4/19~6/15 (後期:5/20~)
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日
※今回の特別展では週末の開館時間の延長がありません。
※観覧には相当の時間がかかりますので余裕をもって入館ください。

2025年5月19日月曜日

中之島美術館「生誕150年記念 上村松園」展

中之島美術館で開催中の「生誕150年記念 上村松園」展へ。

美人画の第一人者として、明治から昭和にかけて活躍した女性画家・上村松園(1875~1949)の、初期から晩年までの100点以上の作品が大集結した回顧展で、大変楽しみに伺いました。

会場内では何点かの作品が撮影可となっています。

「月蝕の宵」屏風(二曲一双)↑↓
描かれている女性の着物の柄や帯結びに動きがあって人物の造形が美しく生き生きして、小さな子どもの表情にも目が離せません。
「しゃぼん玉」↑
こちらも帯や着物の模様にうっとり。
軸装した作品が多く、よく見ると表装の裂地の美しく豪華なこと!
そんなことに気がついてからは、特に風帯と一文字に使われている裂地を見るのが楽しみになっておりました。
「春さめ」↑と「清韻」↓
風帯と一文字の裂地が同じです!

「待月」↑
青い薄物の下から透けて見える赤色の模様のあるお襦袢!
この他にも透け感を表現した作品があり、その繊細で静謐な美しさにうっとりしてしまいます。
「序の舞」重要文化財↑
「何ものにも犯されない、女性のうちにひそむ強い意志を、この絵に表現したかった」という、61歳で描いた、松園芸術を代表する作品。

その他の作品のいくつかはHPのこちらで紹介されています。
画像はありませんが、「伊勢大輔」という作品には、「いにしえの奈良の都の八重桜、けふ九重に・・・」の歌を詠んだことに因んだナラノヤエザクラが描かれていました。

今回の鑑賞は、昨年に着付けを習っていた会の皆様方とご一緒に着物でお出かけだったこともあり、作品に描かれた和装の細やかなところに目が行きがちでしたが。
松園が描く美人画の女性達は、単に美人というだけでなく、何か芯のある、それでいてたおやかでしなやかな美しい人ばかりで、作品を丁寧に見ていくと心が満たされていくようでした。

会場でパネル展示してあった棲霞軒雑記青眉抄 に松園の文章があって、帰宅してからネットに載っていないか調べてみました。

女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。
一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。
その絵をみていると邪念の起こらない、またよこしまな心を持っている人でも、その絵に感化されて邪念が清められる……といった絵こそ私の願うところのものである。
芸術を以て人を済度する。
これくらいの自負を画家は持つべきである。
よい人間でなければよい芸術は生まれない。  
これは絵でも文学でも、その他の芸術家全体に言える言葉である。  
よい芸術を生んでいる芸術家に、悪い人は古来一人もいない。  
みなそれぞれ人格の高い人ばかりである。
真・善・美の極地に達した本格的な美人画を描きたい。

このようなことが書いてあったと思います。
だからこそ、作品に崇高な精神性を感じたのだと思いました。

「生誕150年記念 上村松園」展は6/1まで。
詳細はHPをご覧ください。

::

帰りはお隣のダイビルでお茶をして雰囲気のある内装の中でパチリ
自分で着物が着られるようになる自装レッスンについては、こちらに詳しくご案内があります。
レッスン終了後はこうして着物でお出かけもお楽しみいただけますよ。 

2025年5月17日土曜日

雨の日の朝に*

雨の日の朝、中庭の緑もしっとり。
GW明けのここ数日のお客様は、ほとんどの方が奈良博の「超 国宝」展の為に奈良にお越しになっている方ばかり。
連泊して京都や大阪と国宝巡りの方も多く、朝食の席は皆さんの情報交換の場となり、初対面の方同士でお話が弾んでいます。
また、「超 国宝」展があまりに良かったので、後期展示期間にもう一度来たいとご予約して帰る方もいて、有難いことに、奈良博効果がすごいことになっている奈良倶楽部です。

奈良博130年を記念した「新奈良博宣言」が発表された時に、井上館長がおっしゃった「『奈良に行ったら奈良博を訪れたい』ではなく、『奈良博を見るために奈良に行く』と言われるような博物館を目指したい」というお言葉。 今回の「超 国宝」展では、まさにそんなムーブが起こっているように思います。 
 
さて、雨の日の朝だったからでしょうか。
今朝チェックアウトのお客様方が「とても落ち着いて、ゆっくりやすめました」と口々におっしゃってくださって……その後に「いつまでも続けてくださいね。」「辞めないでくださいね」という言葉も添えられるのですが……。
そんな嬉しい言葉を励みにして、まだもう少し頑張っていきますよ!

2025年5月13日火曜日

東大寺境内*初夏の花

毎年、柳絮が飛ぶ頃に咲くのは栴檀の花。
一昨日に柳絮を見に行った時には、栴檀の存在をすっかり忘れていたので、今日のお昼にお散歩がてら、栴檀の花巡りをしました。
といっても、東大寺境内の中で私が知っているのは
大仏殿裏の三面僧坊跡北側の資材置き場のところ↓と


南大門を借景に東大寺ミュージアムの北側↓と

戒壇院のところ↓

全体的にまだ咲き始めな感じでした。 
参考までに戒壇院の栴檀の花が満開の時のブログ→

また、東大寺境内以外では、瑜伽神社や荒池のところにも栴檀の大木がありましたので、その辺りをお散歩される時には気にかけて見てくださいね。 参考までに瑜伽神社の栴檀の花のブログ→

この時期の花としては、西塔跡のマルミノヤマゴボウ↓
白い花が7月頃には真っ赤に染まります。 


猫段の途中にはエゴノキが満開でした。

辛国神社にも久しぶりにお参りして、こちらのお神籤では安心して大吉を引くことができ、いつも元気をいただきます。

二月堂裏参道お供田の桑の実はまだ青いですね。 

最後にもう一度、今日の柳絮です。
動画をご覧いただくとわかりますが、本当に雪のようでした。

朝の仕事の後に小1時間ほどのお散歩コース。
爽やかなお天気でしたので、日中も気持ち良く歩けました。

2025年5月11日日曜日

柳絮が飛び始めました*

大湯屋そばのマルバヤナギの柳絮りゅうじょが飛び始めました。
まだ飛び始めという感じで、これからもっと雪が降ったようになるのでしょうね。二月堂でもふわふわ飛んでいるのを見つけて、遠いところまで飛んで行ってるみたいですね。
動画バージョンもSNSにpostしています→

二月堂の北手水の上あたりには定家葛の白い花が咲いていて
鬼子母神さんの前では柘榴もオレンジ色の花を咲かせていました。

帰りの公慶道ではカラスビシャクが咲き始めていました。
(カラスビシャクという名前に関して、ウラシマソウでは?というコメントもいただき、どちらが正しいのか、昨年からまだ今もわからずにいます。はっきりわかるまで、このブログでは最初に教えていただいた方に敬意を表してカラスビシャクという名前で書かせてください。)
そして、定家葛は正倉院の裏にも。 

昨年の今頃のブログを読み返していたら、柳絮が飛ぶ頃には栴檀の花も咲いているので、明日か明後日には戒壇院や西塔跡の方にも行ってみようと思います。

2025年5月10日土曜日

春日大社「献茶祭」

5月10日 春日大社「献茶祭
神前に茶を奉納する「献茶祭」は、表千家(不審庵)、裏千家(今日庵)、武者小路千家(官休庵)の三千家家元が毎年交代でご奉仕されています。



この時期の青葉若葉が美しい春日大社にお参りできる楽しみもあって、一昨年昨年に続いて今年も参加させていただきました。

早い目に到着して献茶祭まで小1時間ほどの間に、まずは、春季特別展「華やぐ春に絵画を楽しむ 春日大社の屏風・絵巻・掛軸」が開催中の国宝殿を先に見学します。

展示品の中でも、江戸時代に描かれた「桜花流水図屏風」が、大阪市美の「日本国宝展」で観た、智積院の「桜図」と同じように胡粉で桜花を表現していて、作品の美しさやダイナミックさも似ていて、いいものを拝見させていただけました。
また、春日社と縁の深い復古やまと絵の名手 冷泉為恭れいぜいためちかのほとんど公開されたことのない作品が紹介されていて、こちらも非常に見応えがありました。

さて、そうこうするうちに11時となり「献茶祭」を直会殿から見学いたします。
今年は武者小路千家・千宗屋若宗匠がご奉仕でした。
Instagramでフォローしているのでテンション爆上がり💕)

始まる前に一枚パチリ。
立ち見できる場所を確保して、ご奉仕される様子を遠目ながら拝見させていただきました。
「献茶祭」の様子は春日大社のXでご覧になれます。

「献茶祭」の後は武者小路千家一門による拝服席へ。
桂昌殿、貴賓館、感謝共生の館での三席と景雲殿での点心席。
写真はほとんど撮っていませんし、お道具についても知らないことばかりで詳しくはありませんが、それでもとても楽しくお席を廻ることができました。

よく知らない中でも印象に残っているのは、横浜の先生のお席だった桂昌殿で、お仕覆の裂地が横浜の向こうの鎌倉の鶴ヶ岡間道という裂地を使ってあって、これは好みだと心そそられました。

感謝・共生の館は岐阜の先生のお席で、長良川の鵜飼で使う籠が花籠に。お軸も鵜と鮎が描かれたもの等々、テーマに沿ったお道具の由来を教えていただき、知らないことを知る楽しみにも浸る一日でした。