2023年10月1日日曜日

県美「仮面芸能の系譜」特別対談

奈良県立美術館開館50周年を記念しての特別展
仮面芸能の系譜ー仮面芸能のふるさと奈良ー


長文になりますが、10/1に開催された特別対談については下段に書いています。

まず先に、関連イベントのお知らせです++
奈良豆比古神社の「翁舞」公演
日時:10/29(日)14時~15時
会場:1階 第6展示室 特設会場
申込受付期間:10/6(金)9時から10/13(金)17時まで 
参加費:無料(当日の展覧会観覧券が必要)
定員:60名(抽選) ※途中入退場不可 
申込先:こちらから

では次に、特別対談「まつりといのりの仮面芸能ー雅楽・舞楽を中心にー」について++

岡本先生のお話が聞けるということで、何気なく申し込んだのですが、天王寺楽所雅亮会副理事長として、四天王寺の「聖霊会しょうりょうえ」を監修されるお立場の小野真龍先生と、元春日大社権宮司で「春日若宮おん祭」の古儀復興にご尽力された岡本彰夫先生のお話はそれぞれに面白くて興味深くものすごく濃密でした。

先生方からはそれぞれ「四天王寺聖霊会」と「春日若宮おんまつり」の動画で解説いただき、見所やこぼれ話的なお話も伺いました。
「四天王寺聖霊会」については予備知識も何もない状態でしたが、法要の式次第や舞楽について詳しく教えていただき、来年は是非拝見したいと思いました。(毎年4/22厳修)

岡本先生から伺った「おん祭」についての幾つか・・・
知らなかったことも多く、自分メモとして書いておきます。

遷幸の儀では、私達一般参拝者が拝見できる二の鳥居に神様がお越しになる前に行われること~初度、二度、三度の乱声らんじょうがあり、3度の「拝殿の御格子みこし上げられよー」に対して「おおー」と3度答える、これを合図に覆面と手袋をつける。御旅所では儲乱声もうけのらんじょうがあり~などについて伺いました。

遷幸の儀の先頭で、松明の火の粉で道を掃き清めているのは、火の粉の灯かりが道明かりの役目もあるのかと思ってましたが、道を松明の炎で焼いて穢れを祓っているのだそう。

また、暁祭で御仮殿の前に神饌をお供えした後に、旧祢宜で氷室神社の大宮家より「素合御供すごのごく」が奉納されます。
「素合御供」に関する胸熱なお話も伺いました。
古くからの御供の一種が明治初期に一度途絶えそうになり、途絶えてはならないものとして、その時代にできる限り可能な組み合わせ(餅やミカンを交互に刺してあるものにハマグリ)の御供を大宮家が上げてくださっていたが、古儀復活でその繋ぎの御供が必要なくなります。しかし明治初期から近年の古儀復活までの期間に積み重ねて来られた大宮家の御供もまた「おん祭」の歴史になっているのだから、復活した御供とは別に続けて欲しいと依頼をされて、今も大宮家からの御供「素合御供」が続けられているということです。
(ただし御殿には上げないで神楽の床に載せるのだそうです)

大宮家の氷室神社と「おん祭」の関係性で2つのエピソード
①10/1の氷室さんの例祭の日が雨なら「おん祭」の日は晴れ。
②10/1には御旅所で棟縄祭が行われます→参照
12月の「おん祭」の行事がなぜ10月に行われるのか?というと、10/1の例祭で、氷室の神様が御輿に乗って出発される合図で行うのは、御旅所の土地は氷室神社の境内エリアで、神様がお留守になったのを見計らって、その土地に屋形を組み立てるのだそうです。こそっとやっちゃうって何だか可笑しいですよね。

田楽座の芸事の伝承について、今はできない芸事をできないからと止めるのではなく、いつか完全な形でできるようになった時のために、今できることを不完全でも形にして残してお・・・・そのような伝承の仕方についても伺い、何気に追っかけていた「おん祭」の、あまりにも歴史の深いお話に益々のめり込みそうです。

先生方お二人の対談では、舞楽についてもたくさん教えていただき、ちょうどこの後に行われる氷室神社例祭の舞楽奉納に向かいます(続く)

最後になりましたが、奈良県立美術館開館50周年を記念しての特別展「仮面芸能の系譜ー仮面芸能のふるさと奈良ー」については、公式サイトよりの引用でご紹介とさせていただきます。
奈良で育まれた仮面芸能を体系的に紹介する展覧会。
縄文時代の土面に始まり、奈良時代に百済から伝わった伎楽や、大陸から伝来し平安時代に集大成された雅楽・舞楽。また曲芸的な散楽、水田耕作と密着した田楽。その淵源が謎に包まれた予祝舞・翁舞や、中世に大和国において猿楽から発展した能狂言へ。仮面のほか、装束や楽器、歴史資料、復元模造作品などが多彩に展覧されています。会期:前期 9月30日(土)-10月22日(日)
   後期 10月24日(火)-11月12日(日)
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:10/2(月)10/10(火)10/16(月)10/23(月)
           ※後期展示期間はお休みなし