2022年10月29日土曜日

第74回「正倉院展」

10/29より11/14まで開催の第74回「正倉院展」。
美しい工芸品に鳥や動物たちがあしらわれたデザインが可愛いだけでなく何て粋でセンスがいいのだろうと、今年も天平時代の美意識の世界にどっぷりと浸ってまいりました。

個人的好みのものばかりになりますが、奈良倶楽部通信流「正倉院展」鑑賞記を、図録より撮った写真と一緒に綴っていきますね。
まず、「紫檀木画箱」のキャプションに書いてあった『蓋のみが当初で、身と床脚はすべて後補である』という文言を読んで、一つの箱の蓋とそれ以外のものが千年以上の年月の違いがあるのに違和感を感じさせない、後補の仕事ぶりの素晴らしさに甚く感動しました。
そして『当初』という言葉にも。軽く「当初」と書いてあるけれど、千年以上前のものがこのように美しいままで残っている奇跡にも感動したのです。
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布ものが大好きなので、今年も染織品の数々にときめいております。
「刺繍飾方形天蓋残欠」大きな天蓋の残欠。
「華鬘残欠」
「竹帙じす」(経巻のつつみ)
などなど、割と大きくてしっかりと残っているものが多く、少し褪せた配色のものでも、当初の鮮やかな彩色が想像できるくらいの、いいものがたくさん出ていました。

そして、会場の最後には染織品の断片がたくさん!
「錦繍綾絁等雑張にしきしゅうあやあしぎぬなどざっちょう
これらは、江戸時代に染織品断片を整理して屏風に貼り付けていたもの(「東大寺屏風」という)を、戦後(昭和26~29年)屏風からはがして別々に保存されるようになったもの。
その「東大寺屏風」に貼り交ぜられた染織品23片
どれも図柄や配色が素敵で、一枚の布として見てみたかったですね。

今回、伎楽を紹介するところに出ていた楽器が「呉竹笙くれたけのしょう
内覧会に来られる折には度々奈良倶楽部にご宿泊下さっていた田島和枝さんを思い出し、今年の正倉院展をご覧になっていらっしゃったらどれほど喜ばれただろうと、亡き人を偲び合掌していました。
「鸚鵡﨟纈屛風おうむろうけちのびょうぶ」には笙を吹く女性の姿が!
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コロナ禍以降、当日券のない「正倉院展」ですが、今年はまだ空きがあって、その空き枠の時間帯のみ、前売券の当日購入が可能です。
と言っても、奈良博では購入できず、ローソン・ミニストップ店舗のLoppiで購入をします。(発券してレジで支払いを終える)
ローソンは近鉄奈良駅やJR奈良駅あたりにも店舗がありますので、奈良に着いてから前売券の当日購入をされてもと思います。

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