2020年11月7日土曜日

「おんまつり」の絵本

福音館書店の月刊絵本「たくさんのふしぎ」
12月号は「春日若宮おんまつり」について。
作者の岩城範枝さんは、絵本「すみ鬼にげた」を書いた方で、その絵本の挿絵を描かれたのは「平成おん祭絵巻」を春日大社に奉納された松村公嗣さん。(2011年1月のブログにご紹介しています)
(そんな関係から「おん祭」の取材を始められたのかなと想像していますが)岩城さんは、2012年から7年かけておん祭に通われたそうで、おん祭の起源や歴史、そして若宮さまの一日を、美しい挿絵とともに絵本で表現されています。(挿絵は小西英子さん)
絵本の中の、遷幸の儀の様子や、お渡り式の様子。
何より、小学生向けの絵本ならではの、おんまつりに参加する小中学生の子どもたちについて詳しく紹介したページがあるのです。
流鏑馬をする小学生の男子たちの稽古の様子。
馬の上から弓を射るのは中々大変ですが、正しい形があれば、的に当てようとしなくても自然に当たるそうです。
おん祭が始まるまでの精進を子どもたちも守って祭の日を迎えることや、祭の意味なども分かりやすく説明されています。
御旅所祭についても「神饌」や「御幣」の意味など、知っているようで知らなかったことばかりで、目から鱗でした。
そして雅楽や舞楽についても丁寧に書いてあり、子ども向けだけでなく大人も楽しめて勉強になる絵本だと思いました。
若宮さまの旅の一日が終る「還幸の儀」の様子。

丁寧に描かれた絵が美しく抒情的で、毎年見学に訪れているおん祭の、その匂いや音も一緒に情景が浮かんできます。
今年のおん祭は拝見が叶いませんが、来年こそは見学できる世の中になりますようにと、祈るような思いでページを繰っていきました。