2020年2月11日火曜日

「奈良を編集すること、奈良を発信すること」

昨年末にブログでもご案内しました「奈良旅好きに聞きたい!アンケート」。このアンケートには、たくさんのブログ読者の方も答えて下さって、どうもありがとうございました。
このアンケートを発信された生駒あさみさんは、奈良で色々なお仕事をされている方達にお話を伺って、仕事やその地域の問題点や現状を知り、その中で自分ができることを考えて、新たに奈良に特化した情報集約の拠点のようなものを作っていこうと、動き出されました。

その第一歩として、奈良の旅もくらしも大切に 奈良のことを伝えていく 「奈良、旅もくらしも」を発信し、「奈良ほどく舎」を立ち上げて、第一回めの講座を開催されました。
「奈良を編集すること、奈良を発信すること」と題した講座の第一回目のゲストスピーカーは、文化季刊紙「あかい奈良」編集長などを務めた倉橋みどりさん。
これまでの仕事を通じて得た考え方、奈良を編集発信することの具体例をあげながらお話された内容は、「奈良倶楽部通信」というブログを通して奈良の情報発信をしている私にとって、あらためて気付かされることがたくさんあって、とても勉強になりました。

お話を伺った中で、心に響いたことを記しておきます。
 倉橋さんが奈良を編集・発信するときに大切にしていること
それは「謙虚さを忘れない」ということで、そのお話の中で

・社寺が大切にしてきた「由緒」「縁起」を大切にする。
例えば、修二会の起こりとして「二月堂縁起」による、実忠和尚が笠置寺の龍穴で拝した兜率天の菩薩たちの行法を地上界に遷して勤めたと伝えられてきていることについて、初めてその話を取材で聞いたときは、口にこそ出さなかったが信じられなかった。でもこれが公式見解で、長く奈良で仕事をしてきて、今はその話を信じられる体質になった。「奈良には実話がない」というご自身の体験談。
・理由・根拠ではなく「続けてきたこと」に敬意を払う
またもう一つ、おん祭の時に奈良では「のっぺ」を食べますが、その由来について古老に取材したときの体験話も興味深く、なぜ食べてきたのかについて半分答え(理由や根拠)を用意してインタビューをした時に、古老から「なぜそんなに理由がほしいんや?」「続けてきたことは続けていく。それだけや」と言われたこと。「続けてきたことはやめない」というのは奈良のDNAではないかと感じたと話されました。
奈良で続けてきた物事や人達や時間に敬意を払いたいとお話されて、現代人の感覚で切り取っては薄っぺらなものになるとおっしゃってました。

その他に、これからの仕事の取り組みとして
きたまちの「人と人」「店と店」「人と店」をつなげることや、今あるものをコーディネートするのも編集の仕事。貴重な話やモノを自分だけのものにするのでなく、皆さんと分かち合いたい。今あるものをよりよくしたいという気持ちが根底にあるとおっしゃって、奈良倶楽部通信を発信している根底に、奈良をもっと知ってもらいたいという気持ちが根底にある私はおおいに頷いておりました。

第二部は、奈良の情報誌の編集に携わってきた方々4名のトークセッション。奈良の社寺との付き合い方を伺って、ブログ発信でも気をつけていかなければと、あらためて気を引き締めたのでした。

最後に倉橋さんがおっしゃって心に残った一言を。
「奈良では、時間は過ぎゆくものではなく積み重なってゆくものだ」
貴重なお話を皆様どうもありがとうございました。