先日の東京滞在中に出かけた一つに、東京国立博物館で開催中の『日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」』があります。
今年2020年は、我が国最古の正史『日本書紀』が編纂された養老4年(720)から1300年という記念すべき年。
その冒頭に記された国譲り神話によると、出雲大社に鎮座するオオクニヌシは「幽」、すなわち人間の能力を超えた世界、いわば神々や祭祀の世界を司るとされています。
一方で、天皇は大和の地において「顕」、すなわち目に見える現実世界、政治の世界を司るとされています。
その「幽」と「顕」を象徴する地・出雲と大和の名品が一堂に集められて、古代日本の成立やその特質が展覧会で紐解かれます。
最初の展示は、「日本書紀神代巻」鎌倉時代の写本で国宝(前期展示 / 天理図書館所蔵)。初めて拝見する古代文書に鳥肌立てながら、「出雲と大和」という興味深いくくり方を楽しみに鑑賞しました。
まずは「出雲」について。
実は2012年に京博で「大出雲展」を鑑賞しているので、既視感のある展示でしたが、久しぶりに見るおびただしい数の銅剣、銅矛、銅鐸に圧倒されました。また、実際に発掘された巨大神殿の柱「宇豆柱」もゾクゾクしてしまいます。(京博では、その展示室のみ写真撮影OKでしたので、ブログ過去記事★には写真も載せています。)
こちら↑は、今回の展示で撮影可だった「加茂岩倉遺跡銅鐸埋納状況の復元」で、このような入れ子になって出土した状況に、発見された時の驚きを想像してしまいました。
銅鐸に描かれた文様や絵がよく見えて、遠い遠い弥生時代の暮らしぶりの一端が想像でき、近くで拝見できたのはよかったですね。
このようなおびただしい数の銅鐸や青銅器などは、祭祀に用いられた品々とされていますが、この後「四隅突出型墳丘墓よすみとっしゅつがたふんきゅうぼ」という独特な墳墓での祭祀が紹介されて・・・
舞台を古墳時代の大和に持っていく展開となります。
大和に出現した前方後円墳は、政治権力の象徴で、王権の儀礼が繰り広げられた舞台でもあります。
ここでは、これでもかというほどの物量作戦で、古墳から出土した埴輪や副葬品が展示されて、圧巻のスケールでした。
黒塚古墳出土の画文帯神獣鏡1面と三角縁神獣鏡33面(3世紀)
藤ノ木古墳出土の金銅装鞍金具(6世紀)
などの有名な出土品も実際に本物を見るのは初めてで
その他に、ホケノ山古墳、メスリ山古墳、島の山古墳、宮山古墳、船の部材が出土した巣山古墳、新沢千塚126号墳・・・まだまだたくさんの古墳があって、古墳好きでなくてもちょっと興奮しました。
出土した埴輪では、「見返り鹿」のように、出雲と大和で共通のものもあって、それを並べて展示してあるのが面白かったです。
石上神宮からは、「国宝 七支刀しちしとう」 (4世紀)が出陳していて、話題になっていました。(こちらも2010年に石上神宮で拝観させていただいています。過去ブログ★)
古墳時代後期には、伝来した仏教を中心とした国づくりが進められ、最後の展示空間は「仏と政(まつりごと)」をテーマに、祈りの造形・・・たくさんの仏像が紹介されていて、いつもの「見慣れた奈良の風景」を感じました。いえ、見慣れたではなく、またここ東京の博物館で拝観すると違った雰囲気を味わえて新鮮でした。
こちらも撮影可の「法隆寺金堂壁画複製陶板・釈迦浄土図」
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『日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」』
会場:東京国立博物館平成館
会期:2020年1/15~3/8
開館時間:9:30~17:00(金・土曜は21:00まで)
休館日:月曜と2/25(2/24は開館)
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