2025年9月16日火曜日

「我知のトビラ」に行ってきました

奈良のトビラ」9月のマンスリーイベントは「我知のトビラ」

読者の悩みや相談ごとに、僧侶が「我知がち」に向き合い、より良く生きるためのヒントを導き出す、奈良新聞の人気連載コーナー<<「我知」 - お坊さんに聞いてみる- >>の連載2周年を記念したトークイベント「我知のトビラ」に行ってきました。

登壇者は、興福寺執事長・辻明俊師、金峯山寺執行長・五條永教師 、秋篠寺住職・堀内瑞宏師と、進行役は奈良新聞・伊藤波子記者。

前半は、それぞれの回答者が出した回答に、他の二人ならどう答えたか・・・というトークセッションで、新聞掲載された回答だけでなく、また違った切り口の回答が聞けてとてもよかったです。

奈良新聞では、このコーナーを無料公開されています。→
①2025年5月21日の堀内師回答に対して
②2024年2月7日の辻師の回答に対して
③2025年6月18日の五條師の回答に対して
それぞれ他の二人が語ったことの中で、特に印象深かったことをメモとして記します。↓

②自殺願望がある学生にどう答えていいかわからないという質問に対して、全員に当てはまる答えはないが、現実よりも想像力が勝る(現実や思い出が足らない)のが自殺のメカニズムではないかと考え、未来の約束をする、小さな約束をしながら一つ一つ実現していくという回答もありました。
③年齢の離れた彼との恋愛結婚についての相談で、世代・性別・国別・思想などが違っても共通するもの、それは「時間」だと答えるところから、女性の時間を無駄に使った男性を諫めて別れなさいと一刀両断的な回答もあり

普段の法話では決して聞けないような本音の部分を三者三様に聞かせていただき、大変興味深いトークセッションでした。

後半では、回答者が悩み考え抜いた質問について紹介されました。
①2025年6月4日 辻師回答
②2023年9月20日 五條師回答
③2024年8月21日 堀内師回答
質問が奈良新聞に届くと回答者4名に一斉に送り、そこでどう答えていいか悩む難しい質問は堀内師に行くという裏話もありました。

最後に、参加者からの質問コーナー
①僧侶をやめたいと思ったことはありますか?
②修行で辛かったことは何か?
③これからの南都仏教はどうなればいいと思うか?
④展覧会に仏像が出展される前に魂を抜く儀式「撥遣はっけん」をされるが、千年以上も信仰されている仏様の魂は簡単に抜けるものなのでしょうか?
・・・等々の質問に対して、④の回答の一つとして
「撥遣はっけん」は、仏様に「ちょっと別のところに移動していただけますか」というご挨拶のようなもの。「開眼」は「お帰りいただきありがとうございます」というような意味合いだと。
・・・そんな風にお聞きして、仏様への愛を感じてしまいましたし、皆さんが質問者にどれだけ心を寄せられるか、自分の回答が届くだろうかと、すべての質問に対して真剣に向き合って回答される様子も知ることができました。

3人の僧侶が語った自己紹介やお寺の宣伝も書いておきます。
興福寺・辻師
・東京国立博物館で開催中の運慶展(9/9~11/30)について
・五重塔の修復工事について、来年に修理現場見学会を予定。
大きな修理を入口に、自分達が住んでいる我が町の文化財にも目を向けてほしい。
・中金堂落慶記念に作られたコーヒーKOHFUKU BLENDが国宝館ショップで販売になった。
金峯山寺・五條師
・10/24~11/30「秋の秘仏ご本尊特別開帳」詳細
・10/22開催の「吉野権現能」のご案内→詳細
・「一音一祈 吉野山コンサート」のご案内→詳細
・2026年4/10~6/7「神仏の山 吉野・大峯展」奈良博で開催
◆秋篠寺・堀内師
・大きなイベント開催はしていない、インバウンド対応もしていない小さな静かな寺である。
・苔で有名だがそれが広がったのは近年のこと。
・回答の最初に「俗世坊主」と自称しているのは、修行を終えて下山した俗世こそが自分の修行の場で、終わりのない修行をしている。
・伎芸天像拝観のヒント→後ろの影を見ることによって仏様の動きを感じることができる。

貴重なお話を伺う機会をいただきありがとうございました。