2021年7月23日金曜日

「奈良博三昧」鑑賞記*

奈良国立博物館で開催中の特別展「奈良博三昧」を観てきました。
この展覧会に出陳されているのは全て奈良博のコレクション。
展示物すべて写真撮影OKで(撮影OKでもSNSへのアップは不可のものあり。また注意事項はこちら)カメラ撮影に夢中になりすぎてしまうかなと思いきや、そんなことはなく、お気に入りの展示をカメラに収めながら、奈良博ならではの最高の展示空間を味わってきました。

奈良博のコレクションは2000件にものぼるそうで、多くが仏像・仏画・古写経・仏教工芸の優品。今回はその中でも特に選りすぐりの245件が出陳、国宝13件、重文100件のすごいラインナップで、仏教美術1400年の歴史を辿って見せてくれます。

全10章からなる展示構成
第一章は『ブッダの造形』

「出山釈迦如来立像」
苦行で瘦せこけたお釈迦さまの姿。頭頂部は悟りを開く前だから、螺髪が盛り上がっていないのだとか。
国宝「刺繍釈迦如来説法図」
飛鳥時代の作でとても綺麗に刺繍が残っているのです。チェーンステッチもよくわかって、刺繍好きには堪りません!

第二章『飛鳥・白鳳・天平の古代寺院』
浜松市で出土した「瓦塔」 素焼きの五重塔。

第三章『写経に込められた祈り』
重文「絵因果経」
釈迦の伝記を説く経典に絵を加えたもので、奈良時代の色彩がこれほど美しくいることに驚きます。
国宝「金光明最勝王経」
天平写経の白眉と称されるのも納得の美しさ。

その他に、気になったものや美しいなと思って、カメラの収めたマイコレクションをこちらに陳列してみます。
「瓦経げきょう
粘土板に法華経を箆書きして焼いて経塚に埋められたもの。

第四章『密教の聖教とみほとけ』
国宝「尺牘せきとく」最澄筆
重文「両界曼荼羅」

第五章『仏教儀礼の荘厳』
重文「大般若経厨子」
国宝「牛皮華鬘」
「菊牡丹文彩色華鬘」
華鬘の保存状態の美しさにも感動してしまいます。

第六章『地獄極楽と浄土教の美術』
「阿弥陀如来坐像」
こちらの展示室では、2017年に開催された「源信」展で拝見したものも多く出ていて、懐かしく思い出しながら鑑賞しました。
国宝「地獄草紙」の一部分。こちらは前期展示のみです。
「泣不動縁起」祈祷する陰陽師・安倍晴明の場面。

第七章『神と仏が織りなす美』
「伽藍神立像」かつては手に釘と槌を持っていて、修行を怠る者には釘を刺して懲らしめるという恐ろしい神様ですが、何ともユーモアのある造形です。
「春日神鹿舎利厨子」

第八章『高僧の姿』
「南無仏太子立像」2歳の聖徳太子像の向こうに「親鸞聖人像」

第九章『南都ゆかりの仏教美術』
重文「兜跋毘沙門天立像」東大寺大仏殿中門にもいらっしゃいますが、こちらは興福寺伝来のもの。
重文「愛染明王坐像」鎌倉時代の大仏殿再建に関係する木材を用いて制作された、興福寺伝来の像。
国宝「十一面観音像」法隆寺鎮守・龍田新宮伝来。平安仏画を代表する名品で前期展示のみ。
「東大寺曼荼羅」の一部分。八角灯篭の傍で鹿せんべい?を持つ人を目掛けて走って来る鹿の様子が今と変わらないけれど、大仏殿回廊内に今は鹿は入れないですね。

第十章『奈良博コレクション三昧』


仏教美術以外のものをメインに、最後の章も見どころたっぷり。

「奈良博三昧」
会期:前期展示 7/17~8/15 後期展示 8/17~9/12
休館日:毎週月曜日(ただし8/9は開館)
開館時間:9:30~18:00(土曜日は19:00まで)