2024年6月23日日曜日

聖武天皇「大仏造顕のこころ」

2024年の今年は、聖武天皇が神亀元年(724年)に即位されて1300年になり、平城宮跡歴史公園で「帝と帝を支えた人々のこころ」という記念講座が、ゆかりの寺院僧侶のリレー形式で開催されます。

6月、第1回目の講師は東大寺・上司永照執事長で、テーマは、聖武天皇「大仏造顕のこころ」。

まず、「即位1300年記念」ということですが、東大寺では「ご即位〇〇年」や「ご生誕〇〇年」については重要視されていなくて、記念法要は「御遠忌法要」になりますとお話されました。
(そういえば、昨年も東大寺として「空海生誕1250年記念法要」はされなかったような)
そして何よりも大事なのは「発願」であること。
聖武天皇が大仏造立の詔を出されたのが天平15年10月15日で、毎年10/15の「大仏さま秋の祭り」と、御命日の5/2「聖武天皇祭」が、東大寺にとって最も大切な法要だということです。

『皇帝の大願に背かざらんことを期し奉る』
東大寺の法要で表白の願文に必ず述べられる言葉で
「聖武天皇の大いなる願いに背かないようにします」と、法要の主旨の中で述べられます。

講座で、聖武天皇の大仏造立への想いを教えていただき、大仏様をお参りするときには、少しでもその想いに馳せたいと思いました。

<<講座の内容は長くなるので、もう少し詳しくは下段に記します>>

さて、1時間半の講座の後は、会場の天平みはらし館のVRシアターで、大仏造立についての映像を特大画面で拝見して
               (画像はサイトより拝借しました)

その後は、天平うまし館のレストランに移動して、上司永照師を囲んでの茶話会です。(平城宮跡歴史公園県営エリアのInstagramにその様子が投稿されています→
70名の参加者が3つのテーブルにわかれて、上司さんが10分ごとに各テーブルを回っての茶話会。あっという間の10分でしたが、お茶をいただきながら、講師の先生と近くにお話しできていいですね。
いただいたのは山添村の蓮茶と、吉野の葛餅と蓮の実。
蓮茶は、開花前の蕾の中にお茶(茶袋入り)を入れて蓮の花と葉で4日ほど包んで作るそうで、今回いただいたのは昨年に作って冷凍保存していたものですが、ほのかに蓮の香りを楽しむことができました。
山添村ではこのような蓮茶作りのワークショップも開催されています。詳細→

::
そして、このリレー講座の8月の募集が始まっています。
8月25日(日)開催
演題は、行基「菩薩のこころ」
講師は、薬師寺・高次喜勝師です
申込先はこちら→ 
今後の予定もサイトからご覧ください

::
では、もう一度 講座の内容に戻って、覚えていることを自分用のメモとして記しておきます。

あらためて、天皇在位中に起こった出来事~旱魃飢饉・大凶作・天然痘流行・2度の大地震、そして皇太子基王の夭逝・長屋王の変・藤原広嗣の乱~に、「責めは予一人われひとりに在り」と、国を治める天皇として大きな権力も持つが責めも負うべきと考えておられた聖武天皇。

遷都を重ねる中で、河内国の智識寺で参拝した盧舎那仏を造り奉らむと思い、その3年後に「大仏造立の詔」が出されました。

その中心となる教えが「雑華厳浄」で、意味は「雑(さまざまな全ての種類の)な華で浄らかに飾る」すなわち「全ての生きとし生けるものが共生すること」。

「大仏造立の詔」の中にある、同じ意味を持つ「乾坤相泰らかに動植ことごとく栄えんことを欲す」という言葉や、「一枝の草・一握りの土を持て、像を助け造らむと情こころに願わば、恣ほしいままに之を聴ゆるせ」という、聖武天皇の理念があったからこそ、二度の焼失も乗り越えて大仏様が復興され、今に至るというお話を聴講することができました。どうもありがとうございました。