2024年10月26日土曜日

第76回「正倉院展」

奈良の秋を彩る正倉院展が10/26~11/11の会期で始まりました。


早速初日に伺い、今年も正倉院宝物の素晴らしさに触れて眼福なひとときを味わってまいりました。

華やかな天平文化の美と技を堪能できる宝物57件。
今年は特に色彩豊かで可愛いものも多く、初めての人でもとっつきやすい内容かなと思いました。
私もそんな愛らしくて綺麗なものに心を奪われてました。
今年のメインビジュアルの「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう」。ポスターやチラシで見ると大きく感じますが、実物は意外に小さいのです。
出陳物紹介にあります説明文「背面に十二弁の宝相華文が表されている。その花弁は銀の薄板に、黄、緑、深緑という3色の七宝釉薬を焼き付けたもので、さらに文様の区画線には鍍金が施されている。 花弁の入り隅には霰文様を打ち出した三角形の金板が嵌め込まれ、全体として十二稜形をなしている。ガラス質の釉薬が持つしっとりとした艶感。漲る生命力を感じさせる深い緑と金色の対比が類い希な美しさを生み出している。」の通り、七宝釉薬の艶感がとても美しく魅力的でした。

「漆皮八角鏡箱しっぴのはっかくかがみばこ」は「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡」を収めていた箱。地味ながらも美しい箱でした。

今回はメインビジュアルの七宝釉薬が掛けられた鏡もそうですが、ガラス製のものに目が惹きつけられます。
「碧瑠璃小尺へきるりのしょうしゃく」「黄瑠璃小尺きるりのしょうしゃく」 目盛りの付いた小さなガラス製のものさし↑と、愛らしいガラス製の魚たち↓
今回の正倉院展では、何点か模造品もつくられて、その制作過程を通しての研究結果などが展示されています。
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下の3点も心惹かれるものでした。
「鹿草木夾纈屏風しかくさききょうけちのびょうぶ
何度か拝見しているような気がしますが、正倉院宝物らしい図柄だと思います。

「紫地鳳形錦御軾むらさきじおおとりがたにしきのおんしょく
聖武天皇が使われていた肘おき。肘を置いたあたりが心なしか少しへこんでいるような?実際に使われていたものを目にすると、色々想像が膨らみます。
こちらも制作された模造品が初公開されていました。肘おきの芯はマコモだそうで、おん祭の時にも使われる植物です。

「沈香木画箱じんこうもくがのはこ
菱形や三角形に切った沈香の薄板を貼った石畳文が、現代的なデザインに感じます。床脚の束は紺色に染めた象牙の表面に草花文を彫り表した撥鏤技法で装飾しているとあります。精緻な木画には何種類の材料が使われているのか、華麗に装飾された木画の箱に収めらるものを想像してみるだけで楽しいです。

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庭園を見ながら呈茶席でお薄を一服
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その後は、仏像館第13室で展示されている「聖武天皇の大嘗祭木簡」を拝見。
聖武天皇ご即位から1300年。記念すべく年に出土した大嘗祭木簡。
木簡はすべて撮影可でした。
最初の一点は「大嘗贄」と記された唯一の木簡だそうで、大嘗祭に用いる贄にえの押年魚おしあゆを納めた木簡です。

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奈良俱楽部のラウンジスペースでは、正倉院展の図録や「ならら」の正倉院展特集もご覧いただけます。
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第76回「正倉院展」
会期:10/26~11/11  会期中無休
開館時間:8:00~18:00(金土日祝は20:00まで)
観覧には事前予約制の「日時指定券」の購入が必要です。
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