奈良県立美術館で開催中の特別展「大和の美~古都を彩った絵師たちの競演」を観てきました。
かつては大和やまとと呼ばれた奈良県は、悠久の歴史と自然豊かな風土とが織りなす独特の文化を形成してきました。
古の都、そして社寺王国として歴史の舞台で重要な役割を果たした古代・中世には、信仰を中心とする寺社の文化が育まれ、今日に至るまで奈良の美術を表す特質となっています。
門前町や城下町が栄えた江戸時代には、武家社会の中で多彩な文化活動が展開され、大和独自の美術工芸も発達しました。また、庶民の行楽の場でもあった名所旧跡には文人墨客が往来し、美術の格好の題材として取り上げられるようになります。
そして近代に入ると、こうした伝統を受け継ぎながらも、一方では西洋伝来の洋画も流入し、古都・奈良の地は、美術家たちを刺激する無尽の創造源ともなっています。
本展では、中世から現代までの奈良ゆかりの絵画作品を展示し、その流れをたどります。通覧されることの少ない奈良の絵画史を振り返ることで、奈良の美術が持つ魅力や特質を概観すると同時に、知られざる絵師・画家たちの存在に光をあて、多様な側面に目を向ける機会ともなれば幸いです。(HPより抜粋)
HPでもご紹介されていますが、奈良、大和を舞台に花開いた芸術を各時代別に紹介されています。
・古代~高松塚古墳壁画や法隆寺金堂壁画
・中世~寺社文化を支えた南都絵所や室町時代の絵師たちの作品
・近世~武家社会の中で活躍した絵師たちの作品
・近現代~洋画と日本画それぞれ奈良ゆかりの画家の作品
・・・奈良ゆかりの画家の中には、奈良の風土や自然に惹かれて奈良に移り住んだ画家や、奈良を創作の原点にした画家たちも紹介されています。
その他に、特集展示として「奈良洋画の黎明 没後100年 大村長府」という画家が紹介されていました。
藤の花が咲き誇る春日野の風景↑や、若草山から見る夕景↓
穏やかな奈良の風景もあれば、春日祭↓などの祭礼を描いたものも
その他に二月堂修二会の食堂作法の様子や、参籠宿所内の様子も描かれていて(撮影不可でしたが)、家族の肖像↓もありので、明治大正に活躍した奈良出身の画家の多岐に渡る画業を拝見できました。
::
展示作品の何点かは撮影可のものもあって
昭和16年、般若寺近く奈良阪周辺の風景(須田国太郎)↑や
昭和4年、正倉院の北側から西側を遠望した景色(遠山八二)↑など
知っている風景が今と少々違って感じるのを興味深く拝見しました。
::
内藤其淵「四季鹿図屏風」
堀川其流「千疋鹿」
森川杜園「群鹿図」
江戸時代後期の大和の絵師による鹿を描いた作品は、画面構成など素晴らしくて眼福でした。
「
大和の美~古都を彩った絵師たちの競演」
会期:2025年1/18~3/9(~2/9前期 2/11~後期)
開場:奈良県立美術館
休館日:月曜日(但し2/24と3/3は開館)と2/25(火)
開館時間:9時~17時(入館は16:30まで)