奈良町の徳融寺さんで隔月に開催されている「おとなの寺子屋」。
今月は「お水取りの声明~南無観コーラス」 をテーマに、東大寺執事長・上司永照師のお話です。
徳融寺さん、ずっと昔に訪れたことがあったきりで(その時のブログ記事
★)、中将姫ゆかりのお寺であり、吉村長慶さんとご縁のあるお寺(長慶さんについてのブログ記事
★)とは知っていても、「おとなの寺子屋」については存じませんでした。
帰宅して、ネットで「おとなの寺子屋」について検索すると
大人の学び処として、同寺老院の阿波谷俊宏さんが、平成15年(2003年)から隔月で開いている私塾です。講師には、奈良を中心に各界の造詣深い人々を招いて、主に奈良にまつわることをわかりやすく話していただくという趣向です。・・・とあります。
長く続けてこられて、地域の方々に愛されている「おとなの寺子屋」。
今回は、たまたまご宿泊のお客様に教えていただき、大好きな修二会の声明について拝聴することができました。
それでは当日のレポですが、まずは初夜上堂からの入堂作法について、練行衆一人一人の流れを詳しく丁寧に教えていただきました。
仕事柄この時間帯に二月堂に行くことができなくても、その様子が目に浮かぶように想像できたのですが、それでもいつか実際にその場面を聴聞してみたいものです。
今回も、声明の幾つかを実際に唱えてくださり、同じ声明でも初夜と後夜でどのように違うのかも詠み比べてくださいました。
時導師が小声で「歎仏咒願」 と大導師に伝えて、大導師の「大咒願」が始まること。大咒願の終わりに大導師がフッと口に出して火を消す小さな音で、時導師の称名悔過が始まること。そんな小さな音もいつかは耳にしたいと、来年以降の新たな楽しみもできました。
そして、称名悔過からの宝号(南無観)について。
お一人なので、時導師とガワとの南無観コーラスな実演はありませんでしたが、それでもたっぷりと宝号を聴かせていただきました。
その他にお話して下さった幾つかをメモより・・・
・修二会を支えている一つに「声明」がある。
・不退の行法を保ってきたものの一つに「声明」がある。
・局は聴聞するためにつくられた場所。(お参りではなく聴聞)
・コロナで局に聴聞者がいない時があり、その時に聴聞者が修二会の一つを構成していると感じた。
・入堂作法で平衆は4ヵ所で数珠で挨拶をするが、四職は西と東の2ヵ所で挨拶。その時にお互いの数珠を合わせるようにするため、相手の癖を聞いて合わせていた。
・弟子の頃は声明の中でもナムカンだけを聞きたいと思っていた。
・ナムカンナムカンと唱えているとトランス状態になりそうになるがなってはいけない。その状態にブレーキを掛けるのが「五体」だと思う。
・修二会は春を迎えるために行っている。
・過剰な生き方を見直す、また大導師の「大咒願」の最後にある願文『天下泰安 風雨順時 五穀成就 万民快楽・・・・』の内容や意味を考える一か月になればいい。
・・・等々。
ちょうど時間となったのですが、大導師作法のあとの咒師作法についても「勧請」の部分を詠みあげて下さいました。
咒師の結界は、今つくった世界をもう一度浄め念押しするため。
「勧請」の部分のことだと思うのですが、大正バージョンと昭和バージョンで音が違うそうで、今はまた大正バージョンに戻っているようなことをおっしゃってました。(すみません、このあたり不明瞭です)
時間オーバーしての修二会の世界にどっぷりハマった幸せなひとときでした。どうもありがとうございました。
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境内の、吉村長慶さん寄贈の石碑も幾つか。
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「おとなの寺子屋」次回は11/1(土)14:00から。(事前予約不要)
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9/25(木)の「京終さろん」では、徳融寺老院・阿波谷俊宏師と『徳融寺物語』作者の寮美千子さんの対談です。
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